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【おそ松さん】歪んでいるというには、あまりにも深く

第4章 私と死んで下さい



腕を切り始めて30分くらいがたった。
赤い線をティッシュで抑えて、また彼女がベットへと戻ってくる。

ああ、今日もまたよく切ったよね...。

ティッシュをそっととって、傷を確かめるのを盗み見る。

一つ、二つ、三つ、今日はどうやら多い方。

オレの願いは届かなかったみたい。
ヒヒッ、そうですよね、こんなゴミクズの願い事なんて神様が叶えてくれるなんてありえませんよね。

だけど...

「それでなくとも貧血気味なくせに...」

あぁ、無視ですか、そうですか。
そうだよね?こんなゴミの話なんか誰も聞いちゃくれませんよ。

枕に突っ伏したまま、彼女はピクリとも動かない。
ダラダラと紫色の枕が赤く染まっていく。

「...汚れる」

ぼんやりと呟けば、その声に反応したのか彼女は動き出す。

少し血が固まった腕に、いつものようにグルグルと包帯を巻き付ける。

「生きたい」

ズキズキと痛むであろう傷口をぐっと握って、痛みで自分が存在している事を忘れないようにしてるんだろう。


やってる事と正反対な言葉を吐いて、彼女は泣いた。

腕を切った後で、いつも彼女はこうやって泣く。
正反対な言葉と行動をするこの子に惹かれた。

「オレも...」

そう言ってオレも彼女の足元で小さくなった。
彼女といると自分は素直になれた。

自分と同じだから、だからこそ、素直になれた。

でもその反面、時々思う。
好きだから、自分自身を傷つける行動を見るとオレが辛くなる...。

まぁ、オレがどう思おうがこの子には関係ないのかもしれないけどさ。

こんなゴミに想われたって迷惑なだけだよね。

「書かなきゃ...」

そうして彼女はまた指を動かす。
淡々と美しいを生み出していく...。

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