【おそ松さん】歪んでいるというには、あまりにも深く
第2章 ただ欲しいだけです
赤いシーツにたくさんのシワがよる。
ジャラリと鎖の音をたてながら、漏れだす声をおさえるために手を口にあてて鳴き喚く。
だからといってそれでおさえていられるほど、彼の愛撫は生易しいものじゃなかった。
「ああっん!やあっ、らめっ!」
花芯の中心より少しズレた所を執拗に責められる。
核心よりズレたその部分からくる刺激は、強すぎず、だからといって弱い訳ではない。
じわりじわりと快感を引き出されて、漏れる声が耳障りな程に甘ったるくなる。
確実に私を絶頂へと導いていく。
「な、こんな、あっふぅ、わか...りゅの?」
呂律の回らない舌、どうして彼はこんなにも私の身体がわかるのだろうか。
意識を飛ばしそうになりながら、無言の彼を見つめればやはりトド松くんによく似ている。
「あっ、トドま...やら、もぅ、いっひゃ...」
その一言を発した瞬間だった。
ピタリと指の動きが止まる。
ぎしりと音を立てるベット。
その次にジャラリとなる鎖の音、引っ張られる身体。
向けられる冷たい視線が、自分の熱をさあっと覚ましていく。
コロサレル....。
本能がそう告げた。
目に宿る危険ななにか、それはまるで蛇に睨まれた蛙ということわざがピッタリと当てはまった。
「あ...ああっ...」
声にならない悲鳴をあげる。
ガタガタと全身が震えた。
寒いからじゃない、ましてや快楽漬けだからではない。
それは、恐怖という名の人間なら誰しも持っている危険を察知する本能。
時が止まったように動かない身体。
鎖を短く掴まれて上へと引っ張られると、手首が引きちぎれてしまうのではと思う程締めあげられた。
苦痛に歪ませる顔を、優しく撫でられて顔を近づけられる。
目の前の冷たい瞳が私を写した。
「僕も気持ちよくして」
離された鎖がジャラジャラと音をたてて、ベットの下へと落ちていく。逆らってはいけないという本能が警笛を鳴らす。
ベットの淵で座る彼の元へ重い身体を引きずれば、またジャラジャラと冷たい金属音が聞こえた。