第6章 真昼の夢(十四松)
瞳を閉じていると、唇に柔らかい感触を感じた…
触れては離れ、また触れてを繰り返す…
うっすらと目を開けると、吐息がかかるほど近くで、十四松くんは口を閉じて真剣な表情でこちらを見つめていた…
その瞳はまた不安そうに揺れて、咄嗟にわたしから距離を取ろうと動きだそうとしているのを感じとった。
今度はわたしから唇を合わせる。
やり方なんて分からないけど、唇を尖らせて彼の唇の輪郭をなぞってみる…
そんな拙いキスを繰り返した。
十四松くんの大きな手のひらが、キスをしながらわたしの肩にそっと触れた。
ゆっくりと形を確かめるように肩の輪郭をなぞり、その手のひらは少しずつ二の腕へと下がる。
やがて手のひらは、二の腕のすぐ隣…ふたつの膨らみを遠慮がちに包み込む…
やわやわと5本の指が波打つように胸の上で動きまわる…
「あっ…」
初めての感覚に声が漏れてしまう…
十四松くんはビクッと大きく揺れて、キスをやめ、わたしからまた距離を取ろうとした。
「はぁっ… 続けてほしい…」
彼が離れてしまうのが嫌でそう伝える…
その言葉を聞いた十四松くんの瞳は、また不安げに揺れたけれど、わたしから離れてしまうことはなかった…
もう一度唇を重ね合わせた…