第6章 真昼の夢(十四松)
それ以来、わたしは十四松くんと遊ぶようになった。
十四松くんは働いてるの?と聞いてみると「う〜うん、僕ニートなの。あはは」という返答…
年齢はわたしの2歳上らしい。同じぐらいかなとは思ってたけど、歳上とは意外だった。
まぁ、人には色んな生き方があるから、十四松くんがニートだろうと気にしない。
わたしは最後の春休みを、身体をたっぷり動かして遊んで過ごしたいのだ。
でも、その遊びの内容が少しだけ…いや、かなり変わっているのだ…
ある時は犬の着ぐるみを着た十四松くんにリードをつけて、散歩をするみたいに歩いたり…
「ぶるるるる〜ん」と高速でくるくる回ってみたり…
ガチのだるまさんが転んだでボロボロになったり…
十四松くんは変わってるけど、一緒に遊ぶのは純粋に楽しい。
明るくて素直で元気で、陽だまりみたいな人だ。
今日は川沿いの芝生で日向ぼっこ。
十四松くんは大の字になって寝転がってニコニコしている。
「いい天気〜」
その隣でそんな十四松くんをスケッチするわたし。
でも、もぞもぞと時々動くからちょっと描きにくいな…
不意に顔を上げる十四松くん。
「どっせ〜い!」
急に走り出したかと思うと、坂道になった芝生を駆け登り、寝転がって坂道を転がり始めた…
「あはははは コロコロ〜コロコロ〜」
行動の予測がつかないな…でも楽しそう。
「ゆいちゃんもしよ〜よ」
「うんっ」
立ち上がり、彼のいる方へ歩き出した。