第5章 君と海の底へ(おそ松)
「貸し切りって…ハタ坊さんはすっごくお金持ちなんだね…」
「でもなんで水族館作ったのか教えてくれないんだよね〜」
「十四松がさ〜、寿司ネタになる魚ばっかり探すんだよ〜」
「前来たときはハタ坊が純金のペンギンチャームいっぱいばらまいたんだぜ〜」
などなど話してくれるおそ松くん。
ふたりでゆっくりと歩く…
おそ松くんは私の肩を抱いたきり…距離が近くて心臓の音がうるさいぐらい…彼に聞こえてないかな?
ベンチがあったので並んで腰かける。
少し薄暗くて、辺りは一面海の青…その中におそ松くんとふたりきり…
「…」
「…」
ベンチに座るとなぜか静かになるおそ松くん…急に私の方を向いて様子を窺うような表情で、
「あのさぁ、キスしてい?」
と、顔を赤らめながら聞く…その仕草がとてもかわいらしくて…
「うん…私もしたいと思ってた… んっ…」
言い終わるのを待たず、おそ松くんは私の後頭部を右の手のひらで包み込み、すぐに唇を合わせてきた。
わずかに開いた唇の隙間に舌を割り入れて、深く口づける…
口内を動きまわるおそ松くんの舌はまるで生き物のようだ…
ちゅ… ちゅっ…
向きを変えて唇が触れあう音が響く…
どのくらいしていただろう…
唇を離すと、お互いの荒い息づかいがやけに大きく聞こえた。
おそ松くんはとろんとした目付きで、肩で息をしている…
「なぁ、この後やっぱホのつくところ行ったらダメ?」
大きな瞳を潤ませて、困ったような顔をしてそんなことを聞いてくるおそ松くんがいとおしくて、私は嫌とは言えない…
「…いいよ…でも、もう少しゆっくりしてから行こうよ」
笑ってそう答えた。