第4章 僕は君の猫(一松)
彼女の家を飛び出すように逃げてから、何日経っただろうか。
あの後、涙を拭いてなにごともなかったかのように家に帰り、兄弟と銭湯へ出掛けた。
家に着くと「いちまっちゃ〜ん、最近帰りが遅いのね」とおそ松兄さんがやけにニヤニヤしながら絡んできたけど、俺は何も話さなかった。
それを見たトド松が「こわ〜い、闇松兄さん、目が怒ってる」なんて言って笑っていたけれど、何とでも言えばいい、と思った。
こうして俺はこの家で兄弟たちの陰に隠れて、ひっそりと生きていく…
世間と関わりの持てないゴミなのに、ゆいさんと出会って、エロいことをして…おこがましかったんだ。
でも…仲良くなりたいと言われたこと、誉めてもらえたことが嬉しくて…期待してしまった…
あぁ…失ってこんなに苦しい思いをするくらいなら、もう誰とも関わらずに生きていきたい…