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【おそ松さん】君に触れたい

第4章 僕は君の猫(一松)


カッ カッ…


誰かの足音が聞こえる…ヒールの音…?


こちらへ近づいて来るのが分かり、身構える。


緊張で身体に力が入るのを感じる…






「こんなところにいたんだね」


女の人の声だ…


「ミーコったらすぐいなくなっちゃうんだから」


女の人のいるところから俺の姿は見えないみたいだ…








少しずつ俺のいる暗い路地の奥の方へ近づいて来るのが分かる…




「あ…」


女の人と目が合う。


俺の目は驚きで見開かれていたと思う…あぁ、こんな路地裏でひっそりと過ごすゴミに気付くなんて気の毒に。
















「ミーコにはお友達がいたんだね」


柔らかな声に耳を疑ったけど確かに聞こえた…


驚きと緊張であんまり目に映る光景を認識できない…でも、目の前の女の人は微笑んでいるように見えた。






気がつくと俺は走り出していた。


女の人の隣をすり抜け、家まで振り返りもせずに。
















玄関の前で息が整うのを待つ。


「はぁ… はぁ…」


予定にない全速力は運動不足の身体に堪える…


でも、あの場でうんこをしなかっただけましだと思いたい。




こんなゴミに笑いかけてくれるはずないのに…俺はついに幻がみえるようになったのか。






まぁ、もう会うこともないだろうし…忘れよう。


ガラリと音を立て、玄関の戸を開ける。


台所から漂う香ばしいにおい、揚げ物を揚げるような音がする。


今日の夕食は唐揚げだろうか…



空腹を自覚するのだった。











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