第4章 僕は君の猫(一松)
ぺたり…ぺたり…
いつも履いているサンダルの底が地面に擦る音がする。
ちょっとボロくなってきたかな?
まぁ俺みたいな奴が履くサンダルならボロいくらいでちょうどいいか。
気に止まらなかったことにして、あの路地裏まで歩く…
ニャア… ニャアア…
ここは近所の猫たちが集まってくる場所…
俺は持ってきたビニール袋の中から猫缶とプラスチック製の器を出して、器に中身を移した。
猫たちは俺が用意した食べ物を嬉しそうに食べ始める。
猫は何も言わなくても分かってくれる…空気で伝わるのかどうかは分からないけど、相手が好意を持っているのか、そうでないのかを見抜いていると思う。
猫たちは俺に悪意がないことが分かるから、きっと俺のことを嫌わない。
人間の世界もそれくらい分かりやすかったらいいのに。
集まった猫たちの中に、白くてふわふわの毛をした小さな猫がいる…
新顔だな…まだ小さいし。
その白い猫の前にも猫缶を差し出すと、
ニャア…
一声鳴いて、美味しそうに食べ始めた。
ふわふわした毛並みを撫でて、その様子を眺めていた。