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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



『なにさっ?』

もしかして、
綾のこと、好き?
…って聞かれたら、

そうだよ、好きだよ、
コタローちゃんの大事な女、
奪いたいんだよ、

…って、言う。
そのくらい、気持ちが止まらない。

なのに、

かえってきた木兎の声は、
いつもよりずっと穏やかで。

『及川ぁ、ホント、感謝するよ。
そうだよな、俺が気ぃ使ったら、
綾はますます、気を使うよな。
とりあえず、声、聞いてから考える。
うん、そうだそうだ。及川の言う通り。』

…ケンカしても、よかったのに。
相棒じゃなくなっても、よかったのに。

木兎はやっぱり、俺の前を行く。

…コイツには、勝てない。

『そこまで言ってくれんのは、
及川だけだぁ。ありがとな、相棒。』

『…どういたしまして。
綾ちゃんに、よろしく伝えて。』

『今から電話してみる。じゃ、またな!』

切れた通話の後の静寂が
なぜか耳に響いて痛い。


自分の牙と爪で
自分を傷付けたようなものだ。
心からダラダラと
血が流れる音がする。

どうして
悪魔の顔のままでいられないんだろう。

どうして
いい人のフリを止められないんだろう。

…わかってる。
木兎が眩しいからだ。
あの光の前では
悪魔は霞む。

綾ちゃんを
俺という悪魔の牙から守ってるのは
木兎の光だ。


…闇に溶けてしまいたい気持ちで
ベッドにもぐりこんだ。

今ごろきっと綾ちゃんは

木兎からの着信を
嬉しさとどうしたらいいかわからない
複雑な気持ちでとって、

だけど話し始めてみたら
やっぱり明るくて楽しい木兎の話に
心が軽くなって、

『光太郎君、面白すぎる!』
…なんて笑いながら
落ち込んだ気持ちを一瞬忘れて

『早く会いたいね。』
…なんて言いながら
胸元のネックレスを触ってる。

さっきまで一緒にいた俺のコトなんか
すっかり忘れて。

…綾ちゃん、
帰らせなければよかった。
もっともっと飲ませて潰して、
俺の肩によりかからせて、
勢いでキスくらいすればよかった。

木兎に、電話しろなんて
言わなければよかった。
今夜はそっとしておいてやれば?
…って言って、
こっそり俺が電話して慰めればよかった。

…いや、違う。
どっちも、しなくてよかった。
大事なもの、全部、失うとこだった…

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