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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第9章 〜コータロー君の願い〜




…回診で毎日見ている、
あの賢太郎君の、双子の弟。

そっくりな、顔かたち。

なのに、

まるで別人みたいな、
初対面みたいな気がするのはどうしてだろう?

そんな気持ちで、森島さんは、
目の前のコータロー君を見つめます

『俺、毎日、学校行ってバレーして、
楽しいこと、いっぱいあるんだよ。』

『光太郎くんは友達、いっぱいいそうだね。』

『いるよ〜!カノジョもいる。』

『え?カノジョもいるの?!』

『そー。隣のクラスの、さぁちゃん。
バレーじゃなくてバスケしてるんだ。
幼稚園の頃からピアノも習ってるけど、
今はバスケの方が好きなんだって。
あと、犬を飼ってて、キュウリがキライで、
好きな色は、水色とオレンジ色。』

『へぇ!光太郎君とさぁちゃんは
いつから付き合ってるの?』

『おととい。』

『おととい?!』

『そ。まだホヤホヤ。』

『それはかなりホヤホヤだねぇ(笑)』

『でももう、手は繋いだ。昨日の帰り道。』

『あら、光太郎君、やるじゃん!
…でも、それと私がお医者さんになるのは
どんな関係があるのかなぁ?』

『あ、そうだった、その話!あのさ、』

ホカホカとした体温が伝わってくるような、
血色のいい、肌と頬。
ピンと立った、個性的な髪。
真っ直ぐにこちらを見つめる瞳。
弾けるような身振り手振りをつけながら
勢いよく話す言葉には、強い意志。

…あぁ、
賢太郎君と光太郎君、
そっくりなのに別人みたいに見えるのは、

いつも見ている賢太郎君と同じ顔なのに
なぜだか初対面の気がするのは、


この子に“感情”や“表情”があるからだ。


光太郎くんの内側から溢れ出る
眩しいほどの生命力を目にしながら

一方で
ベッドで眠り続ける賢太郎君の
静かながらも育ち続ける命の力も
自然と思い浮かべながら、

森島さんはコータロー君の話の続きを
聴いていました。


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