第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
" TOKYO、サ★イ★コーッ☆ "
東京での大学生活が始まって、
本当に毎日、そう思っている。
俺が進学したのは、
日本でも選りすぐりの
アスリート候補生が集まる体育大学。
とにかく設備が整っている。
オリンピック選手のOBも多く、
練習相手も一流。
『将来の就職に有利に…』
なぁんて考えてるヤツは、ここにはいない。
みんな、
プロやオリンピックや全日本を
目指すのが当たり前、みたいな顔ぶれ…
いわゆる俺みたいな(笑)
スター候補生ばっかりだ。
中でも同期には、
『天性のスター』という言葉がピッタリの
面白いヤツがいて、
俺は今、そいつにトスをあげるのが
楽しくてしょうがない。
『ヘイヘイヘ~イ、
センター、ちょーだいっ!!』
高校の頃から、
"五本指"の一人と言われてる
木兎 光太郎。
…もちろん、存在は知っていたけれど
実際に会ったのは、大学に入ってからが
初めてだった。
第一印象?
ウルサイやつ(笑)
『あーっ、みつけたーっ!おーい、
マジでこの大学なんだ!助かったぁ!』
…最初にバレー部の練習に参加したとき、
遠くで、ものすごく大声で
わぁわぁ叫んでるヤツがいて、
自然とそっちを向いたら、
なんか、
賑やかなオーラを身にまとったヤツが
チャラチャラ歩いてくる。
『…うわぁ、
あんな大声で呼ばれる相手、かわいそ。
きっと、すっごく恥ずかしいよね…』
まさか、
まさか俺が呼ばれてるとは思いもせず
かがみこんでシューズを履いていると、
その影は俺の横で立ち止まり、
グッと…肩を抱いてきた。
え?
俺?
なに?
なんだ?
なにごと?
『?!』
『も~っ、シカトすんなよ~、
俺の、新しい、相棒っ!!!』
『…は?』
『ヨロシクなっ、
"男子バレー黄金世代"って呼ばれる
俺達の世代の中でも、実力、人気、ともに
俺の次に兼ね備えている…』
はぁっ?!
『オイカワ トールくんっ!!』
『…は?…ぁ…』
驚いた。
かけられた言葉は
突っ込みどころ満載だったけど、
確かに、彼…木兎 光太郎…は
宮城の選手では見たことがないような
輝きを放っていた。
で、とりあえず、聞く。