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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第9章 〜コータロー君の願い〜




真っ直ぐに
奥の人影へと向かっていくコータロー君。


『…ぇっ?!』

お互いの顔が見える距離になった時、
驚きの声をあげたのは、

なぜかコータロー君ではなく、
“ユーレイさん”のほうでした。


『…なんで、ここに?!』

コータロー君を前に、
それこそユーレイでも見たかのような顔で
目を見開いて驚いている
“ユーレイ”さん(←紛らわしいなぁ 笑)。

『なんで、って?
オレ、ここに来ちゃダメなの?』

『だって…ずっと…』

あぁ、わかった、という表情のコータロー君。
思い切りカッコつけた声で答えます。

『オレ、目覚めたから。』

『…い、いつ?!なんでそんなに元気に…』

『うっそ〜!!オレ、賢太郎の双子の弟。
コータローっていうんだ。』

『ふ、双子?!ホントに?!』

『うん、ホントだよ。顔、一緒だけど、
ほら、足は俺のほうがキズいっぱい。』

すり傷だらけのコータロー君の足は

ヤンチャな小学生の証。
元気でいることの証。

普通の毎日を
当たり前に過ごせている、幸せの証。

『…ホントだ…ねぇ、だけどどうして
光太郎くんはここにいるの?
賢太郎君の病室は、確か10階だよね?』

『うん。賢太郎のお見舞いに来たんだけど、
でも、賢太郎の所に行く前に
パパとママとお医者さんが
なんか難しい話してるから退屈でさぁ。
誰か遊んでくんないかな〜、って探検してたら、』

『真っ暗な部屋から物音がして、
覗いてみたら私がいたのね。』

『そ!…ここ、初めて来たけど何の部屋?』

『ここはリネン室。シーツとか、洗濯物を
集めておくところね。』

『…で、ユーレイさん、じゃないか、
おねぇさんはここで何してたの?
看護師さんのカッコじゃないよね。洗濯係?
なんで洗濯係さんが賢太郎のこと知ってんの?
そんで、何でこんなとこで泣いてたの?
あれ?さっき、泣いてたよね?ね?!』

おねぇさんは、少し赤い目をこすりながら
コータロー君の前にかがんで目線を合わせ、
苦笑いしながら、口を開きました。



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