第9章 〜コータロー君の願い〜
好奇心旺盛な小学生、光太郎くんは
幽霊でも泥棒でもいいから見てみたい!
…と、その不審な音のした部屋のドアを
そーっと、少しだけ開けてみました。
電気の消えた部屋の奥に見えたのは、
白〜い服に、長〜い黒髪。
聞こえる声は、すすり泣きのような…
こ、これは…
夏の定番、コワイ話シリーズに
よく出てくる感じじゃん?!
そう思った光太郎君は、
思った通りのことを口にしました。
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『ね、ユーレイさん、ヒマ?』
『…』
『あ、もしかしておばけ?
オレ、ユーレイとおばけの違い、
あんまよくわかんないんだけどさ。』
『…』
『どっちでもいいや!
ね、ヒマ?今、遊べる?』
光太郎君の無敵のフレンドリーシップは
ユーレイでもオバケでも関係ないようで
『こんな暗いところにいないでさ、
電気くらいつけたら?
あ、ユーレイは電気つけたら消えちゃうか?
そーだ、足ってあるの?
てか、今、夕方だけど、出るにはまだ早くね?
あー、今夜の出番を待ってるとこ?
ねーねー、オレの声、聞こえてる?』
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さっきまでは細いスキマだったドアも
今は顔が入るくらい開けて首を突っ込み、
中に一生懸命話しかけている光太郎君。
『…』
『あれ?
ユーレイって、しゃべれなかったっけ?
でも“うらめしや〜”って言うよね?
あ、もしかして“うらめしや〜”しか
言えないんだっけ?』
『…』
『とりあえず、オレ、そっち行く。
電気、つけちゃうからね。
明るいとこキライだったら、消えていいよ!』
…人間だろうが幽霊だろうが
そんなことは光太郎君には関係ないようで、
相手の反応など全く気にせず(笑)
そっと部屋に滑り込んだ光太郎君は、
“パチン”
壁にある、電気のスイッチを入れました。
さぁ、
ユーレイは、消えたのか、消えてないのか?
いやいや、それ以前に、
相手はユーレイなのか?!