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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第9章 〜コータロー君の願い〜




『いっぱい質問されちゃったなぁ。
ひとつづつ、答えるね。

まず、私の名前は、森島 綾。
洗濯係じゃなくて、まだここに来たばっかりの
見習いのお医者さん。
賢太郎君のところにも
毎日、様子見に行ってるんだよ。


…それと、恥ずかしいけどね、
泣いてたのは、

あんまりにも自分が出来ない事ばっかりで
注意されて、わかってるのに出来なくて、
そんな自分がますます悔しくてね…
光太郎君には、まだわかんないかな?』

『ううん、それ、チョーわかるよ!
オレだってさ、バレーで
やってもやってもうまくいかない時、
泣いちゃうもん。
泣きたくないのに勝手に涙が出て困る。
そんな感じだろ?
…ね、それより、お医者さんって、ホント?
女の人もお医者さんになれるの?!』

『もちろん女の人でも、お医者さんになれるよ。
まだまだ男のお医者さんに比べると少ないし、
そもそも私はまだ見習いだから
“一人前のお医者さん”とは言えないけどね。』


その言葉を聞いたコータロー君は
森島さんの白衣を強く握りしめて言いました。

『ね、いつ一人前ってやつになるの?』

コータロー君のまっすぐなまなざしに
森島さんは少したじろぎながら答えます。

『ええと…
もっとたくさん勉強して、出来る事が増えて、
あと、患者さんに信頼されたら、かな?
早くそうなりたいけど、まだまだだろうなぁ。』

少し弱気な返事をする森島さんに
コータロー君は、大きな声で言いました。

『じゃ、頑張ってよ!
いっぱい勉強して、早く一人前になって!』

コータロー君の熱心さに戸惑う森島さん。

『う、うん、頑張るよ。そりゃ頑張るけど…
私が頑張ると、
光太郎君にも何かいいことあるかな?』

『あのね、俺じゃなくて、賢太郎だよ。』

森島さんを見つめるコータロー君の目には
子供のおねだりのレベルを超えた
純粋さと真剣さがありました。

人の心を動かす、強い、意思。

『なんだろ?教えてくれる?』

森島さんは、思わずかがみこんで
コータロー君の顔を正面から見つめます。




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