第8章 ~ネコ達、恋に大騒ぎ。~
「この間、練習見に来てくれた子、
超 可愛かったっしょ?
俺、入学式の日からピーンときて、
もう、同じ年に同じ学校に入学とかって
これは運命だ、来たぞ青春、っていうか!
なのにクラスが違ってなかなか話せなくて、
委員会とか係とか帰る時間とか仲良い子とか
いろいろ調べて…」
「うわ、お前、それ、
ほぼストーカーじゃねーか?!」
「ゼンゼン違うっす!そりゃ、
山本先輩がやるとストーカーぽいですけど
俺がやれば、立派なリサーチですから!」
「何だとっ(怒)」
「…トラ、後輩相手に本気で怒らないで…
でもリエーフ、やっとその子が
練習見に来てくれたんだよね?なのに、
なんで調子崩すのか、わかんないけど。」
「そ、それが…」
虎と獅子でいがみ合ってた灰羽君が、
とたんにシュンと落ち込むから、
それまで話半分で聞いてたみんなも
急に真剣に聞き入ります。
「次の日、初めて彼女の方から
俺に話しかけてくれたんです。
バレー部って、いつも練習してるの?
見学行っても迷惑じゃないかな?って!」
「…よかったじゃん?」←研磨
「やっぱムカつくっ。」←トラ
同時に発した2人の先輩の声など
まるで聞こえなかったみたいに
灰羽君の話は続きます。
「だから俺、
"もちろんいつでも見学来てよ!
こんな可愛い子が来てくれたら、
俺だけじゃなくて部員みんな、
超 ヤル気でて最高だし!"って返事して。」
「お前のファンが来たって、
俺は別にヤル気は出ないけどな。」←トラ
「俺はもともと、どうでもいい。」←研磨
「俺は結構嬉しい派っすけどっ!」←犬岡
「大丈夫、その子、僕らのことは、
きっとどうでもいいはずだから。」←福永
「皆さんの意見、それぞれ納得です。
で…
灰羽君の話の続き、聞いてもいいですか?」
あれこれツッコミどころ満載で
どうにも前に進まない話を、
灰羽君と同期の新入生で
灰羽君とは全く逆のタイプの芝山君が
なんとか前に進ませようと
先輩達に気を使いながら、
控えめに口を挟みます。
「そしたら…」
「そしたら?」←トラ、研磨、その他全員