第8章 ~ネコ達、恋に大騒ぎ。~
結局みんな一緒に部室を出て、グズグズ歩く帰り道。
芝『で、山本先輩、何を見たんですか?』
虎『芝山ぁ、さすがのナイスレシーブ!
お前だけだ、ちゃんと話せるのはっ!』
研『…トラの会話、無駄が多すぎ。で、何?』
虎『おお、あのさ、』
立ち止まってみんなを集め、小さな声で。
虎『夜久さんと、マネが一緒に帰ってた。
あれ、ぜってー偶然とかじゃないって。』
芝『マネージャー、3人いますよね?』
虎『夏希さん。すげー、嬉しそうな顔してた。』
研『…だってあの二人、つきあってるから。』
虎『それまじっ?いつから?俺、全然知らねー!!』
研『二年の頃からだけど、先輩がいるうちは、
あんまり知られたくなかったんじゃない?
もりすけ君、
そういうことでチームの和とか乱したくないタイプ…
なんでも"ちゃんと"したい人だから。』
虎『んじゃ、なんで研磨は知ってんだ?』
研『クロと海君が、
二人の仲を取り持つのに苦労してたから
作戦考えるの、手伝ったりしてた。』
虎『ええっ?!
そんな"青春真っ只中"的なこと、
自分らだけでしてたのかっ?!
くーっ先輩達、なんで俺にも
相談してくんなかったんだよ~(涙)』
研『トラには相談しないよね(苦笑)』
リ『(大笑)山本先輩にはしないっしょ。』
虎『なんだ、こんな時ばっかり
研磨もリエーフも声、揃えやがって!』
犬『あれっ、もしかして、』
…その場の空気を全くよまず、
明るく大きな声で話に参加してきたのは
新入部員の1人、犬岡君。
犬『もしかして、山本先輩も
夏希さんのこと、好きなんスか?!』
虎『えぇっ?』
リ『マジすか?』
研『…そうなの?』
福『それはびっくり、焼き甘栗。』
一斉に突っ込んでくるみんなに、
虎『ち、違う違う、そーじゃねーよっ!』
全力で首を横に振りながら猛烈に否定する山本君。
研『…トラ、ウソついてると
後で自分の首、締めるよ?
言うなら今だと思うけど。』
みんなの心の声を代弁する研磨。
虎『違うって!そりゃ、部活のマネージャーとつきあうとか、そういう青春は究極の憧れではあるけれどもっ。だからといってさすがに夏希さんは俺には到底無理な相手だとわかってる!むしろ夜久さんと似合いすぎてると思う!思うからこそ…』
研『…思うからこそ、何?』