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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)



四人掛けのテーブルに
二人で向かい合って座る。

『外、暑かったねぇ…及川君、何飲む?』

そういえばこの間は、
ジンジャーエールとウーロン茶だったな。
律儀に、高校生みたいに
ノンアルコールで乾杯して、楽しかった。

『私、生にしよ。及川君も生ビールでいい?』

…最初だけ。一杯だけ。
綾ちゃんが飲むのに
俺が飲まないのもおかしいだろ?

『そうだね、俺も、生。』

生を2つ、食べるものも適当に頼み、
ふわっと穏やかな空気が漂う。

『今日は、飲むんだ。』

『ん?』

『ほら、前にここに二人で来た時、
綾ちゃん、ジンジャーエールだった。』

『あぁ、光太郎君と付き合い始めてすぐの時ね。』

『そうそう。』

『あの日は、ちょっと緊張してたもん。
及川君と二人で飲む、なんて。』

『今日は緊張してないんだ?』

アハハハハ…笑う。
正面から見る笑顔。
始めてかもしんないな。
眼鏡の奥の目が、
クシャッと線みたいに細くなる。

『今さら緊張しないよ~。むしろリラックス。』

届いたビールのジョッキを
ごつんとぶつけて、乾杯する。

…俺のことを、
全然、男として見ない人と。

『あー、おいし!さ、食べよ!』

ジョッキを置いて
髪の毛をゴムで結び直す彼女の胸元に

シルバーが、チラリと見えた。

『あ、そのネックレス…』

『ああ、これ?』

トマトサラダを取り分けていた彼女が、
ちら、とそのネックレスに触れる。

まるで俺に触れられたみたいに、
俺の胸元が、ジンと焦げた。

『光太郎君から、もらった。
誕生日プレゼントだって。』

胸の中が、ギリ…と痛む。
俺が選んだ、って知らないんだ。

木兎、言わなかったんだな。
…いや、言う必要、ないけど。

何も知らない彼女は
はい、どーぞ、と
トマトサラダを差し出しながら
言葉を続ける。

『かわいいよね?!
光太郎君のイメージとちょっと違って
箱、開けたとき、びっくりした。
…なんか、光太郎君だったら、
トーガイとか選びそうだったから。』

『…トーガイ?』

『あ、ごめん。頭蓋骨のこと。』

思い出す。木兎が最初に選んでた、
ピンクのガラスが目に入った、スカル。

『…どっちがよかった?』

我ながら、意地の悪い質問だと思う。

『当然、こっち』って
言ってほしい、なんて。


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