第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
綾ちゃんと二人きりで飯。
2回目、だ。
前は、木兎と付き合い始めてスグ。
今日と同じ、この店だった。
木兎に無理矢理セッティングされた
あの時とはもう、状況は全然違う。
二人は
予想外に(?!)うまくいってるし、
俺は、綾ちゃんのことを、
気にしないように
気にしないように
気にしないように
…と、気にしている。
そして今、
それぞれに人生の大事な時期だ。
3人のバランスを崩すことは、
絶対に、避けたい。
キーマンは、俺。
俺がそこを崩すことは、
絶対に、避けないといけない。
『…かわ君、及川君?』
呼ばれてることに気付かなかった。
『え?ぁ、ああ、ごめん、何?』
『席、ここでいい?』
『あ、いいよ、…綾ちゃん、』
『ん?』
『コタローちゃんに電話しといて。
俺と飯食う、って。』
『…わざわざ?
そんなことでアレコレ言う人じゃないよ?』
『いいから、電話して。』
…でも、出るかなぁ、飲み会だよ?
そう言いながら、
綾ちゃんが電話をかける。
出るよ。
木兎、バレーの時間以外は
いっつも綾ちゃんから連絡ないか
スマホ、手放さないんだから。
『…あ、でた!…もしもし、光太郎君?
うん、今、駅前で偶然及川君に会ったから、
一緒にご飯食べてくね。
…あはは、及川君が電話しとけ、って。
…ねぇ。…かわろうか?』
はい、と
綾ちゃんが俺にスマホを渡す。
『あ、コタローちゃん?そういうワケだから。』
『わざわざ電話しなくていいのに(笑)』
『いや、一応、どこで誰がどんな噂、
勝手にたてるかわかんないじゃん。
誤解でコタローちゃんが調子おとすと
いけないからさ。』
『さすが相棒、そりゃどーもっ!』
『飯食ったら、帰らせるし。』
『保護者みたいだなっ(笑)
綾としゃべんの、久しぶりだろ?
最近、勉強が忙しかったみたいだから、
たまには気分転換させてやって~。』
じゃーな、と
お互いに声をかけて通話を終え、
スマホを綾ちゃんに返す。
『ね?別に許可とること、ないのに。』
違うんだよ。
俺自身のブレーキなんだってば。
これはデートじゃない。
木兎からちょっとの間、
綾ちゃんを預かってる、っていう
自分へのブレーキ。