第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
『で?で?どれがさりげなくペア?』
木兎がグイグイ、押してくる。
…確か、この辺にあった。
まだ売れてないことを祈るよ…
細い木の枝を組み合わせたような
ナチュラルな
手作りのアクセサリースタンドの辺りを
見て回る。
四つ葉…
貝殻…
星…
月…
そうそう、こんな感じの
自然をモチーフにした並びに置いてあったはず…
あ。
『コタローちゃん、コレ。』
『…これ?ちっちゃ!』
木兎が
その大きな手のひらに
小さなシルバーをのせる。
『…羽?』
『そう、羽。意味もいいじゃん?』
それぞれのモチーフの意味が書いてある。
羽のモチーフの意味は、
"飛躍・上昇。親しさの証し。
新しい出会いや幸運を運ぶ。"
『ほら、綾ちゃん、国家試験とかあるし。
それに、羽、コタローちゃんとオソロ。』
木兎の後ろポケットからあふれてる
キーホルダーをジャラ、と触ってやる。
黒いレザーの編み込みの先に、
トルコ石のはめ込まれた
シルバーの羽のキーホルダー。
こっちはずいぶんデカいけど(笑)
『あぁっ、ホントだ、オソロ!』
『な?さりげなくて、いいじゃん。』
『…スカルより、いいかな?』
一応、ハッキリ言ってやる。
『あのさ、綾ちゃんが
医者になったとこ、想像してみ?
医者がスカルぶら下げてるのって
なんか、ちょっと怖いじゃん?』
『…それもそうだな(笑)
でもこれ、ちょっと小さくねぇかな?』
『綾ちゃんは絶対、
でっかくて目立つのはつけないって!』
結局、その羽のペンダントトップに
もう1つ、
イニシャルのアルファベットが刻印された
小さな丸いモチーフをつけたものにした。
『オイカワに相談してよかった!
うん、さりげなくオソロ、いいっ!
どうやって渡そうか?
ヤベ、早く渡してーなぁ、
誕生日まで、待てない気がするっ!』
今日もご機嫌の、木兎。
…『綾ちゃんの誕生日っていつ?』
と、聞けなかった。
聞かない方がいい。
聞いたら、きっと俺はその日、
このネックレスを
木兎が綾ちゃんにあげるところを、
もしかしたら、ネックレスをはめて
そのままラブシーンに突入する二人を
何度も何度も想像するに違いない。
『…きっと、似合うよ、すごく。』
それしか、言えなかった。