第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
ある日の試合の時も
綾ちゃんは
途中だけ応援に来たけど先に帰ってて
帰り道、
木兎と二人になった俺は、聞いてみた。
『最近綾ちゃん、可愛くなったよね?』
『そ?最初からかわいーじゃん?
でも、素直になったなー、とは思う。
最初の頃は、我慢ばっかりしてた。』
『我慢?コタローちゃんが、我慢?!』
『イヤ、俺じゃねーって(笑)綾。
"テストだから早く帰る"とか
"寝坊出来ないから今日は飲まない"とか
"試合見に行くとか先輩に言えない"とか
何でも我慢すんの。
でも、楽しみ我慢してまで勉強したって
生きてる意味、ねーじゃん?
考え方、逆にして
"楽しんだ分、頑張ろー"って思えば
大体のことはやれるぜ、って
言ってやったんだぁ。』
『…そしたら可愛くなった?』
『イヤ、最初から可愛いってば(笑)
でも、よく笑うようになった。
俺、綾の先輩誘って
一緒に飲みにも行ったんだよ。
あのほら、最初に綾を見た時に
綾に説教してた先輩。』
『え?マジ?』
『したら案外イイヤツでさ、
綾が試合の応援に来れるように
協力してくれるようになった。』
『…綾ちゃんのためなら
そんなこともしちゃうんだ。』
『違う~、俺のため!
だって、応援、来てほしいじゃーん!』
いつものように
ガハハ、と笑う木兎。
…聞いてみたかったこと、口にしてみる。
『ね、コタローちゃん、
綾ちゃんのどこが、一番、好き?』
『えーっ?なんだよそれ。
ワガママな女の子みたいな質問!
いるじゃん、すぐ"アタシのどこが好き?"
って聞いてくる女の子。』
『…俺、聞くけどね。
ナンパでついてくる女の子に。』
『マジ?うわ、面倒くせぇ男っ(笑)』
バッサリ俺を扱き下ろしながらも
木兎はサラッと答えた。
『どんどん変わるとこ、かなぁ。
最初の頃は自分を縛り付けて
スゲー息苦しそうでさ…
でも、ちょっときっかけ掴んだら
どんどん楽しそうになってくのが
見てて気持ちいいんだっ。
なんだろな、
育ててる果物の樹に
花が咲いて実がなるのを
ワクワクして見てる、みたいな感じ?
おいしい実になれよ~、って。
…あ、でも俺、考えてみたら
果物なんか育てたこと、
1度もねぇわ、ワハハ。』