第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
いや、ごめん。
読者女子のみんな、ごめんね。
及川徹ともあろう者が
輝くのに疲れる、なんて言ったら、
みんな、心配しちゃうよね。
俺は、大丈夫。
ちゃんと、
自分の輝ける場所があるから。
…木兎と綾ちゃんが
付き合い始めたのは
俺と木兎が3年のとき。
ちょうどチームの中心で、
注目もされやすくて、
そのあとの進路にも
すごく大事な時だった。
こういう時に木兎が絶好調を維持
…というのは、本当にありがたい。
綾ちゃんは、東京近郊の試合の時は
例え少しの時間でも、
出来る限り見に来てくれるようになった。
この"少しの時間でも"というのが
予想以上に木兎に効果的で、
いつ来るか、いつ帰るかわからないから
『いつ見られてもいいよーにっ!』と
試合中の調子のムラが少なくなったのだ。
…"単純さ"が
こんなにプラスに作用するヤツも
珍しいんじゃないかと思う(笑)
木兎にプラスの作用があったように、
綾ちゃんにも、少し変化があった。
可愛くなった。
何がかわったのか、わからない。
相変わらず、メガネかけてるし
相変わらず、服装も、無難。
相変わらず、髪も、黒くて真っ直ぐ。
だけど、絶対、可愛くなった。
『恋をすると女は変わる』
…なんていうけど
俺はそれを実感したことがない。
なぜなら、
俺の周りの女の子は、
いつも、可愛い子ばかりだから。
いや、誤解しないでよ?
思い上がり、とかじゃないよ?
俺に近づいてくる子はみんな、
いつでもチャンスをモノにできるように
自分をスミズミまで磨きあげてる、
いわば"女子道の達人"ばかりだから。
(あの、アリスちゃんみたいに、さ。)
…だから
最初は地味にしか見えなかった
綾ちゃんが
木兎と付き合い始めて
グングン可愛くなっていくのを見て
本当に、ビックリしたんだ。
木兎という
太陽の光に照らされて、
木兎の愛情という
水分と栄養をたっぷり与えられると
人はみんな、芽を出し育ち、
女はみんな、花を咲かせる。
俺は、どうだ?
俺の光に照らされたヤツラ…
コートの中なら、
誰でも光輝かせる自信がある。
でも、
コートの外だと…
女の子は特にみんな、
俺のターゲットになった子は、
…枯れる確率、8割?
おぉ、俺って、危険な男だね…