第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
木兎と俺と綾ちゃん。
なんとも不思議なバランスの
3人の仲が、始まった。
木兎は不思議なヤツだ、と
改めて思う。
自分の大事な人は、
みんな家族みたいな感覚で接する。
友達も、恋人も、相棒も、
その友達も、その仲間も、
みんな、同じように。
だから、
木兎と綾ちゃんのデートに
俺が一緒に行くこともよくあるし、
木兎が都合がつかない日
(なにしろアイツは仲間が多い分、
プライベートも忙しい。)
俺が木兎に呼び出されて
木兎の代わりに俺が、綾ちゃんと
飯を食うことも、たまにある。
それが全然、
(この俺でさえ)居心地悪くないのは
木兎の醸し出す一体感だ。
木兎の世話をすることに文句を言いつつ
『でも、しょーかねーか。
だって木兎だもんな。』と、
多分、みんなが思ってるし
頼られることを楽しんでいるし
俺も、この二人の前なら
ダメなところをさらけ出せる。
『綾~っ!』
『な、オイカワっ!』
『ちょっと、光太郎君!』
『ねぇ、オイカワ君、』
『なんだよ、コタローちゃん、』
『なぁに、綾ちゃん、』
そうやって、
それぞれのバランスで
3人の仲を続けていられたのは
愛情を独占しない木兎の
深い懐があってこそ。
誰にも100%の愛情を
分け隔てなく注げる、
木兎の人柄あってこそ。
だけど、
やっぱり、二人は恋人同士で、
そこは、越えられなくて。
3人で遊びに行って
二人が一緒に帰って行くとき、
たまらなく、一人を感じた。
そんな時は、スマホを取り出して
あいうえお順で女の子を検索し、
一晩限りのセックスを繰り返す。
そのたびに、聞く。
『俺のどこが好き?』
だってこんなにキレイな顔の男の人、
見たことないも~ん。
だってこんなにイケメンで
バレーも超うまいって、すごくない?
だって、すごくオシャレ!
だって、この間、テレビに出てた。
雑誌に出てるの、見たもん。
そんな人に声かけられたら嬉しい~。
だいたい、そう言う。
『顔はいいけど、ロクデナシ』
…なんて、誰もハッキリ言ってくれない。
『眩しさの向こう側の俺を見てみたい』
…なんて、誰も1度も言ってくれない。
俺、木兎の太陽みたいな輝きと違って
頑張らないと光れない、自家発電だから。
…時々、疲れる。