第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
綾ちゃんは
ふんふん頷きながら言った。
『聞けば聞くほど
今まで会ったことないタイプの人…
うまくやれるかな?』
『単純すぎて理解不能なこともあるけど…
あんまり考えないでつきあうのが
きっと一番いいよ。
だって、木兎自身が本能で動いてるからね。
こっちがあれこれ考えても、大体ムダ。』
綾ちゃんが、
不思議そうに言う。
『及川君は木兎君と
似てるようで正反対なのに、
すごく信頼しあってるよね。
どうしてうまくいくんだろ?』
うっ。
痛い。
考えたくないところを突かれた。
俺が木兎のそばにいるのは、
俺の未来のために
木兎の力が必要だから…だ、多分。
本当は、
木兎にどこか敗北感を感じてて
本当は、
木兎のことがいつも羨ましくて
木兎が俺を思ってくれてるほど
素直に受け止めきれないことは
言えない。
『…木兎を嫌いなヤツなんていないよ、きっと。』
そうやって、無難な言葉で、逃げた。
『そうだね。確かにそうかも。
…木兎君の眩しさに
目をつぶってしまわないように
私も、しっかり見てみる。』
羨ましい。
羨ましい。
"本当の彼をしっかり見てみる。"
そうやって思ってもらえることが。
俺には、無理だ。
自分ですら
本当の自分を見つめる勇気がないのに
誰かにわかってもらおうなんて。
顔がいい以外は(←文句ある?)
天才でもなく、
一番にもなれなくて、
努力もまだ花開かない。
何をクリアすれば
木兎みたいに愛されるのだろう。
試しに、目の前の彼女に
冗談みたいな顔で聞いてみる。
『ね、綾ちゃん、
例えばだけどさ、
顔だけだったら木兎より俺がよくない?』
アハハハハ。
心から面白そうな笑い声。
『もう、及川君らしすぎる質問!
顔だけで言うなら?
それ、どっちもレベル高すぎて、
私の天秤じゃ量れないよ〜。
二人とも男前だしスターだし、
とんでもなくおそれ多いわ。
もっと普通の人の方が落ち着く。』
自爆。
…イケメンすぎてダメだと言われたら
(←なんか文句ある?)
俺、いいとこナシじゃん。
だけど。
顔でもバレーでもなく
"俺"を愛してもらえるなら、
それってものすごく
落ち着けるのかもしれない。
…そう思ってしまった。
気付きたくなかった。
気付いたら、
求めてしまう。