第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
"相談にのってあげてくれよ。"
そう言われたけど…
普通、そういう相談って
女同士とかでするもんだよね。
そう思っていたのだけれど、
綾ちゃんからの連絡は、思ったより早くあった。
つきあい始めたことを聞いた、翌日の午後。
…早すぎじゃねーの?
もう、何か困ってんの?
練習の前、着信履歴に気づいて、
木兎のいないところで俺から折り返す。
…なんか、どんなテンションで
連絡していいかわからなくて
思いきり、ふざけてみることにした。
『もしもし、こちら
木兎取り扱いコールセンター、担当のオイカワです。』
『まさにコールセンター並の安心感!』
…ドーンとヒカれたら
どうしようかと思ってたけど、
笑ってくれて、俺の方がホッとする。
『あぁ、でも今、練習前よね?
私、あとでかけ直そうか?』
『いや、いいよ。
…で、お客様、どんな相談でしょうか?』
『あのね、
実は木兎君とつきあうことになったんだけど…』
『昨日、聞いたよ。コタローちゃん、
すっげーゴキゲンだもん。ありがとね。』
『いや、
及川君にお礼言われることでもないけど(笑)』
『で?早速、何か問題?』
『問題以前、というか。
なんか、ほら、木兎君とつきあう上で
注意点とかコツとかあったら、
先に教えてもらいたくて。
…あまりにも私の周りにいないタイプの人だから。』
もっともな質問だな、と思う一方で
疑問も湧く。
『ね、綾ちゃん、なんで
木兎とつきあうこと、OKしたのさ?
根負け、だけ?』
電話の向こうの綾ちゃんは
ゲラゲラゲラッと笑った。
…こんなにダイナミックに笑うんだな。
最初に"クールで嫌な女"だと
思った俺の直感は間違えてた。
女を見る目はあると思ってたのに。
ひとしきり笑った彼女は
俺に、質問で返す。
『どうして"根負け"だって思ったの?』
『え?木兎の話聞いてたら、
どう考えたって、木兎のしつこさに
断りきれなくて根負けだろ、って思った。』
『確かに情熱的だったけど、
しつこいなんて思わなかったよ。
及川君に何て報告したか知らないけど、
それはきっと
木兎君のテレか優しさかもね。』
…言葉って目に見えないのに、
彼女は木兎のことが好きなんだな、と
なぜか、伝わってきた。
一瞬、"悔しい"と思ったのは、何故だ?