第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
ギャーギャーわめきながら
岩泉と花巻に連れていかれる及川。
イケメンの醜態、俺らは見慣れてるけど。
『及川先輩、フッたんじゃなくて
フラレたんだ?!びっくり~。』
『そうか?割とよくあるけどな。
あいつ、ギャップ激しいから。』
『顔と性格のギャップ?』
『それもあるし、
バレーしてる時とそうじゃない時も。
そこがアイツらしさでもあるし。』
『へぇ…でも私は、
松川センパイの方がずーっと好き!』
『そりゃどうも。
なかなかマニアックなご趣味で。』
『そんなことないもん。
優しいし、穏やかだし。』
『争うの、面倒だろ。』
『浮気しないし。』
『そんなにモテねぇからな。』
『大人だし。』
『はいはい、制服、似合いません。』
『そんなんじゃなくて~、』
彼女から、手を繋いできた。
『ふふっ、大きな手。守ってくれそぅ!』
嬉しそうだ。
…最近、あまりにも
かまってやれなかったからかな…
及川がいたら
『ずるいぞ、リア充ヤロー!』とかって
噛みつかれそうだ。
『ね、お腹すいた~っ。』
そうだ、ラーメン、食い損ねたんだった。
『何か食うか。』
『うんっ、マクドニャルド!』
『…日曜の昼、ムチャ、混んでんじゃね?』
『それでもいい!
高校生の放課後デートはマクドニャルド!』
『そー?なら、行くか。』
『ほらね、センパイ、優し❤️』
カップルや親子連れや女子高生で
いっぱいのマクドニャルド。
それはそれは賑やかで。
『ね、センパイ、そういえば、
*ん*のこ*とか、も***てる?』
横の席のチビッ子が
ギャン泣き中で聞こえない。
『ん?ごめん、聞こえね~。』
『しんろの、こととか、もう、決めてる?』
『あー、進路か。』
こんな賑かなところで
大声でする話じゃねぇよな。
『**たら、***る。』
『んー?』
『決めたら、教える。』
『遠距離とか、やだ。』
『まだわかんねって…これ、食わねぇの?』
結構でっかい上に割と高い
"なんとかサンドセット"を頼んだのに
案外、腹一杯にはならなくて、
彼女が残してたポテトが気になる。
『あ、食べて食べて。はい、どうぞ。』
…フニャリとしたそれも
あっという間に胃袋へ。
ラーメンの替え玉みたいに
気軽にお代わり出来ねぇもんな。
ま、いいや。
今日の晩飯、なんだろ…