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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)



さらりと
"セックス"という言葉が飛び出すから、
ちょっとビックリした。
その手の話題も、普通に、喋るんだなぁ。

『…ヘタだった、ってこと?』

『ハジメテだから、
うまいヘタなんかわかんないって(笑)
なんか…慌ただしかったのを覚えてる。』

『どこで?自分の部屋?』

綾ちゃんは、笑いながら、
俺の顔を覗き込む。

『何?彼女とどうヤるか、計画中?』

『ち、違う!俺じゃなくてっ、』

…花巻のことを話した。

大事すぎて、なかなか切り出せないこと。
自分も相手もハジメテで、
うまく出来るかどうか緊張してること。
及川におちょくられて、
いっそ学校でシようかと言い出したこと。

『…いいねぇ、青春だねぇ!』

頬杖をついて、
うんうん、と頷いてる綾ちゃん。

『で?いっちゃんは?彼女とどうなの?』

『俺?』

…母親にだったら、
絶対、こんなことは話さない。
なのに、
"母の親友"には、なんでこんなに
素直になってしまうんだろう。

『俺、処女、初めてでさ。』

『あら、いっちゃん、案外と遊んでる…』

『違うっ!及川じゃあるまいし、
俺は、遊んでんじゃなくて!』

おっさん達のサプライズによる
風俗デビューのことや、
前の彼女が女子大生だったことを
しどろもどろになりながら話すと、

綾ちゃんは笑いながら聞いてくれた。

『いっちゃんも、その…花巻君?…も、
すごーく、優しいんだね。
自分の性欲より、相手のこと、
ちゃーんと考えてあげてるんだもん。
どっちの彼女も、そんな彼氏に
ハジメテあげられたら、きっと幸せ。』

『…でも、俺、』

『ん?』

『花巻が彼女を大事にしてるのに比べたら、
"俺が幸せにしてやる"みたいな
男らしい気持ちじゃない気がすんだよな…
なのにハジメテはちゃっかりもらうって、
なんか俺、ズルくない?』

ふわり。
綾ちゃんの手のひらが、
俺の頭の上にのって、

髪の毛を、くしゃり。

『いい男だねぇ。
そんだけ真面目に考えてんだもん。
いっちゃん、充分、いい彼氏だよ。

…1番大事な人、ってね、』

綾ちゃんの言葉は、新鮮だった。

『一人じゃなくて、たくさんいるの。』

『え?1番、なのに?』

『そ。』

…こんな穏やかな顔で話す女の人を、
初めて見た気がする。

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