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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『マッキー、遠慮してる場合?』

『及川、うっせー!
人の彼女、先着順みたいに言うな!』

『えーっ?!
先着1名の勝ちでしょ、ね、岩ちゃん。』

『勝ち負けの問題じゃねーだろ。
余計なこと焚き付けるな、エロ川。』

…部活のあとの部室。
エロ本を開いてた及川達が騒いでる。

『もうっ。みんな、キレイゴト言って!
本心は欲しくてたまんないくせにっ!
ねー、まっつんはどう思う?』

遅れて部室に入った俺に、
及川が質問を投げかける。

『ん?何の話だ?』

『マッキーがさ、彼女とキスはするのに
セックスは、出来ないって言うから。
処女もらうのに、勇気いるんだって。』

『そりゃ、花は及川と違って
女なら誰でもいいっていうような
鬼じゃないもんなぁ。』

こういう時はとりあえず、花巻の味方。
及川は案外、いじられキャラだから、
冷たくあしらっても大丈夫。

『なーに言ってんのさ!
こんなエロ本見ながら、
一人でこっそりシコシコされる方が、
彼女にしたら、ショックじゃないの?
あたしがここにいるのにぃ…って。』

なるほど、
花巻のロッカーからエロ本が出てきたのが
話題の発端らしい。

『それにさ、
ただのセックスじゃないんだよ?
処女は、人生で最初の一回だけなんだから。
やっぱり先着1名なんだって!
いーじゃん、俺、
ハジメテの忘れられない男になりたい!』

『マジ、うっせー!ほっとけ!』

花巻が真っ赤な顔で反論し、
岩泉が及川を外に引きずって行って、
部室は急に、静かになった。


『…マツ、もう、今の彼女と、シた?』

『いや、まだ。』

『マジ?』

『ん。…多分、彼女、ハジメテなんだよな。
なんか、やっぱ、タイミングとか、なぁ。』

『さすがマツ!及川と違って常識ある!』

『でも、』

『ん?』

『オレは、ハジメテじゃねーから。』

『マツ…まじか?』

『んー。とっくに。』

『…ウッ…敗北感、ハンパねー…』

『でもほら、
早けりゃいいってもんでもねーからさ。』

『慰めるな!余計、傷つく…』

ガックリとうなだれる花巻に
どんな言葉をかけるべきか迷っていたら、

『おい、鍵、閉めるぞ!』

ガタッと部室のドアが開いて、
岩泉が顔を出した。

花巻の分の鞄も俺が抱えて
うなだれた背中を押してやる。

『まぁ、焦るなよ。』

『焦るっ!』

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