第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
バーを出て、待ち合わせ場所へ。
しばらくすると、
『お待たせしてごめんなさぁい!』
満面の笑みで駆け寄ってくる女の子。
…あれが"アリスちゃん"かぁ。
うん、覚えがあるような、ないような。
『及川君から連絡もらえるなんて
思わなかったからびっくり!
どうしたの?』
どうしたの、と言われても。
そこは適当に、及川スマイルで。
『…理由がないと、電話しちゃダメかな?』
ほーら。キュン、とした顔してる。
簡単、簡単。
『ううん、理由なんかいらない。
私を思い出してくれただけで嬉しいな。』
…思い出しては、いないんだけどさ(笑)
まさか、あいうえお順で選んだとは
さすがに言えないし。
『行こうか、アリスちゃん。』
…とりあえず、もう少し、飲もう。
酔った勢いの感じくらいで誘わないと
本気だと思われたら面倒だし、
アリスちゃんも、酔った方がきっと
誘われやすいだろうし
乱れやすいだろうから。
久々だな、
及川徹の本領、発揮。
肩をグッと抱いて歩き始めると
アリスちゃんがトキメイた表情で
俺を見上げてる。
『…なに?どうかした?』
『及川君、やっぱり、カッコイイ♥
肩なんか抱かれたら、たまんない。』
耳元で、ささやいてやる。
『抱かれたいのは、肩だけ?』
瞳をキラキラさせて、期待した顔。
肩を抱いた右手の指で、
大きく開いたシフォンのシャツの首もとを
少し引っ張って、中を覗きこむ。
『この中に、何を隠してるのか
あとでじっくり教えて欲しいな。』
指先で鎖骨をなぞりながら
甘い、甘い声でたたみかけると、
『うん♥』
…ほら。彼女だって、
最初からそのつもりなんだからさ。
抱かずに帰らせるなんて、
それこそ、彼女に対する裏切りだろ?
『言っとくけど、
彼氏がいたって全然、構わないよ。
俺は、彼氏が出来ないことしてあげるから、
アリスちゃんは、彼氏の前では見せない顔を
俺に見せてね。
アリスちゃんは、今夜だけ、俺のお姫様。
…わかるよね?』
この状況で、NOと言う女は、まずいない。
『よし。じゃあ、まずは、
姫を気持ちよく酔わせてあげる。
…もし後悔しても、
お酒のせいにしちゃえばいいからね。』
ここまで先にきちんと説明する男も
そうはいないんじゃないかな?
でも、これが俺なりの
レディファースト、ってことで(笑)
