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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)



優人が産まれてから、旦那とは
だんだんすれ違うようになった。

自分の生活を変えたくない旦那。
もっと家族で過ごしたい私。

一家の主として、威張りたい旦那。
子育てに必死で、旦那の男のプライドに
つきあう余裕のない、私。

つきあっていた頃には
"歳上でリードしてくれる"のが
魅力だと思ったのに、いつしか
"リード"は"命令"になっていた。

その命令は
だんだんエスカレートして
どんなに私が困っていても
助けてくれなくなったし、

私に興味がない様子なのに、
無理矢理セックスしてきたり、
かと思えば何日も帰ってこなかったり…

(むしろ家にいないでくれた方が
ホッとしたりもするのだけれど。)

苦痛な日々ではあった。
でもやっぱり男の子には
父親が必要だと思ってたし、

正直、私一人の収入で
子供を育てる自信もなかったし、

若気の至りの結婚だったから
親にも弱味を見せられないし、

だから
大概のことは我慢したんだけど…

あるとき、
少しの時間、子守りを頼んだ。
…近くの酒屋さんに空きビンを運ぶ、
ほんの10分くらいのこと。

家に帰った私が見たのは、
頭を押さえながら
一人で泣いている優人だった。

…優人を抱きあげ
ケガがないことを確認し、
あやしながら、彼の帰りを待つ。

しばらくして帰って来た彼。
コンビニにでも行っていたのか
雑誌と缶コーヒーを持ち、
悪びれた様子もない彼に
私は初めて声を荒げた。

最初は
『子守りはお前の仕事なのに
俺に預けるのが悪い』の
一点張りだった彼も、
私のあまりの勢いにイヤイヤ話し始めた。


久しぶりのパパに甘えて
ワガママをいう優人に
イライラしたらしく、
まとわりつく優人をはらった手が
優人の頭にあたった。

勢いで後ろにひっくり返り、
大きな声で泣き始めた優人を
どうしていいかわからないと、
一人にして出ていっていたらしい。

『静かにしてりゃ、かわいいのにな。』

優人を見下ろし、そう言った彼。
私の中で、
何かがパチンと音をたてて弾けた。

…その日は黙って引き下がり、
翌日から私は、
旦那に黙って少しづつ、
一人立ちの準備を始めた。

大丈夫、出来る。

『森島はいつだってしっかりしてるから。』

…って、
西谷君が言ってくれたことがある。
あの言葉を、
自分に何度も言い聞かせながら。

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