第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
…高校生活は、案外、楽しかった。
中学に入学したときは
あんなに人見知りだったのに。
多分、
カオリや西谷君と過ごした三年間で
私も少し、社交的になれたんだと思う。
カオリとは、
一年の夏休みくらいまでは
時々、会ったりしてたけど、
だんだんお互いに
それぞれの生活が出来上がってきて
あんまり会わなくなった。
西谷君には、会ってない。
噂では相変わらずバレー中心の生活で、
2年の時には
念願の春高にも出たそうだ。
高2、といえば。
私は高2の時、
初めての"彼氏"が出来た。
…同じ学校の男子に告白されて。
それまで
全然意識したことない人だったから
ビックリしたんだけど、
別に断る理由もなかったし、
"修学旅行の前にカップルになれると
なんとなく勝ち組(笑)"みたいな
変な競争意識もみんなの中にあって、
それにのっかった感じ。
それなりに楽しい付き合いだったし、
その人とは、キスもしたし、
卒業するちょっと前に、
初めてのセックスも、した。
彼は県外の大学に行って、
私は地元で就職。
遠距離恋愛で離れてる間に、
彼に大学生の彼女が出来て、別れた。
浮気されてフラれたことになるから
悲しかったことは悲しかったけど、
思ってたほど、引きずらなかった。
就職した私から見たら、
進学したのに遊んでばかりな彼が
なんだかすごく子供っぽく見えたから。
…やっぱり私、根がマジメなのかな。
チャラチャラした感じ、苦手。
真っ直ぐな人…西谷君みたいな人…が
男性の基準、というか。
そんな時に、
職場の先輩に紹介された人と
メールを交換したのをきっかけに、
お付き合いを始めた。
4つ歳上。
何でもリードしてくれて、大人に見えた。
車、持ってて、ドライブデートとか、
やたら新鮮で楽しくて、
…セックスも、やっぱり経験が多い分、
リードしてくれるのが嬉しくて、
つい、勢いで、その、なんというか、
いわゆる"中出し"というのを拒めなくて
1度許すと、
それから避妊してくれなくなって、
まぁ、そう簡単には出来ないと思ってたら、
出来た。子供。二十歳の頃、だった。
男の子だった。
名前は、私が、つけた。
(旦那には由来は言わなかったけど)
西谷君の名前の"ゆう"を使いたくて、
優しい人、と書いて"ゆうと"にした。
優人は、私の宝物。