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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)




あれ?

手のひらのガリガリ君の当たり棒が
ぼんやりとぼやけて見えて、

ポタポタと、雨の滴。

『…綾…』

雨の滴は、私の両目から降っていた。

もう、会えない。
明日からは、思い出以外、
何も共通点はなくなる。
そしてもう、
新しい思い出が増えることは、ない。

その事実の寂しさに、
今、初めて気付いた。

『…カオリ、これ、失恋?』

『…違うと思うよ。失ってないもん。
なんだろね?恋の区切り?』

『でも、もう、会えない…』

『そんなこと、ないと思うけど…
だけどさ、寂しいよね。
自分はなんにも変わってないのに
相手とか環境とか、勝手に変わってさ。
こっちはそんな簡単に、
気持ち、切り替えられないっつーの。』

校舎の裏で、
カオリは私を泣かせてくれた。
…カオリが失恋した時、私が見守ったみたいに、
今度はカオリが私を見守ってくれて。

鼻が詰まって息が苦しくて、
目がかゆくなるまで泣いたら、
なんか、泣くのも疲れてくる。

『はぁ…なんか、疲れた。』

『わかるわかる、ひたすら泣くのも
案外、体力、いるよね!』

涙を拭いて、鼻は詰まったまま、
いよいよ二人で、学校を後にする。

『…なんか、信じられない。
もう、私達、中学生じゃないんだね。』

『うん。でもまだ高校生でもないし。』

『宙ぶらりん、だね。』

『うん。』

『ニシノヤみたいに夢と希望しかない
単純なヤツが、羨ましいなぁ。
…あ、ね、さっきのガリガリ君の棒、』

『ん?』

『これ、アイスに変えないよね?』

『変えないつもりだけど。』

『ね、ペロッて舐めたら?
そしたらニシノヤと間接キス!!』

…か、間接キス…

『や、やめて、そんな、』

『あー、だね。あいつ、キッタナイ手で
握ったはずだもん。一回、洗ってから…』

『洗っても、舐めないしっ!』

『ふふ、まぁ、どうぞご自由に(笑)』

…別れ道まで、きた。

『じゃあね。』

『またね。』

『ホントに、またね!』

『うん、絶対、またね。』

またね、って約束してるのに、
手を振るのが、寂しくて。

『カオリ、3年間、あり…』

『やめてっ!泣きたくなるからっ!
いつもみたいに、軽く明るくっ!』

そうだね。
いつもみたいに。

『じゃ、』

『『またね!』』


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