第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
2日間の試験が終わり、
翌日の新聞の模範解答を見ながら、
3人で自己採点。
『ね、あそこ、やっぱり出たね!』
『それとほら、アレも!
しつこくやっといて、マジよかったぜ!』
『あの公式使う問題も出たじゃん。
あん時、ニシノヤのヘタな歌思い出して
試験中に笑いそうになったってば!』
笑いながら自己採点できるのは、
きっとそれぞれに
全力を出せた、という自信があるから。
『あぁ、やべぇ、俺、こんなにテストで
自信満々なこと、今までねぇしっ。
もう、俺的には、合格100%!』
『出た、根拠のない自信(笑)』
『いや、俺的には、さ。』
『他の人もみんな出来てたら
平均点、高いってことだからさぁ。
ニシノヤの結果だけじゃダメなのっ。』
『いやいや、落ちる気がしねぇもん!
よーし、今日は久々にバレーすっかな。
ママさんバレー、入れてもらおっ!』
西谷君は、荷物をまとめると
鞄を抱えて走って去っていった。
『…んもぅ。ほんと、ノー天気!
自分的には合格つったってさぁ、
あたし達3人の中でも既に最下位よ?!
どっからあの自信が来るんだか…』
ふぅっ…と、カオリが、
大袈裟にため息をついてみせる。
『でもさ、
西谷君本人があれだけ満足してたら、
もう、結果はどうでもいい気がしない?』
『確かにね。…ま、ニシノヤなら、
どこ行っても楽しく過ごすだろうけど。』
どこに行っても。
どこに行っても、もう、こうやって
3人一緒に過ごす学校生活は、ない。
『…カオリ、高校行ったら、何したい?』
『えー?そりゃ、決まってるじゃん。
バスケでインターハイ。それともちろん、
彼氏作る。背が高くてスポーツマンの!』
『The 青春、だね。』
『綾だって、そうでしょ?
やっぱ、彼氏、欲しいじゃん。
あ、それともニシノヤ一途?!』
『…カオリがいなかったら、
私と西谷君、接点、ないもん。』
『えぇっ?!
あたし、そこまで面倒みないよ?
自分のことで手一杯!』
『わかってる(笑)
私だって、カオリの青春、邪魔するつもりないし。』
『…卒業式で告ったら?
その後、学校、別れちゃうんだもん。
もしうまくいかなくてもいいじゃん。』
『…考えてみる。』
そう。
卒業式まで、
さよならまで、
あと、1ヶ月。