第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
家に帰ってからもずーっと考えてた。
"友達"という、言葉の意味。
カオリに何度も
"告白すれば?"と言われたのに、
しなかったのは、私。
私自身が"友達以上"になることを
拒否していたのと同じなんだから
当たり前と言えば当たり前の状況。
…西谷君とあの彼女、
結局、どうなったんだろう?
私達が立ち去ったあとの話の展開が
気になって仕方ない。
私が心配してもしょうがないけど。
私が意見できることじゃないけど。
…じゃ、どうしたいの?私っ?!
『ぁーーーっっっ!!!』
自分に腹がたって腹がたって、
ベッドの上でバタバタしてたら
スマホが鳴る。
カオリからだ。
『もしもしっ?』
『綾~、大丈夫?
今ごろ、頭、かきむしりながら
ジタバタしてるんじゃない?』
『…してた。なんでわかるの~っ?!』
『フフ~ン。恋に関しては
私の方が先輩ですからねっ(笑)』
…カオリ…
恋をしたら、みんな1度はこんな
ジタバタしたくなる経験、するのかな。
ふと思った。
あの彼女も、今頃きっと家で、
今日の西谷君との時間、考えてる。
『ね、カオリ、あのあと、あの二人、
どうなったんだろ?』
『さぁ…ま、めでたくカップル成立、
ってことはないと思うけどね、多分。』
『こんなことなら、
中途半端に逃げたりしないで
最後まで立ち聞きすればよかったぁ。』
『おりこうさんの綾が
そんなこと言うなんて!成長だ(笑)』
『笑わないでよぉ!』
『明日、昼休み、自習、するでしょ?
私がニシノヤにさりげなく聞くよ。』
『…頼りっぱなしで、ごめん。』
『いいって。自分以外の恋愛ごと、
おせっかいするのって楽しいもん!』
『そう?面倒じゃない?』
『ぜーんぜん!』
『頼れるなぁ。
…私もカオリみたいになりたいよ。』
『そのためにも、とりあえずまずは
恋して告白して失恋して…をひととおり
経験しなくちゃねっ!』
『…失恋も必要っ?!』
『恋はそれでやっと1セット!』
『もう、ほんと、ヒトゴト!』
『ごめんごめん。
…ね、でもさ、今日、思わなかった?』
『何を?』
『もし彼女がニシノヤに告白して、
ニシノヤが万が一、OKしたら、って。』
『考えたく、なかった。』
もし、そうなったら。