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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)



『あの二人は、』

西谷君にとって、私とカオリは、

『俺を助けてくれる友達、だな。』

…友達。

『あんなに仲良くても、
親友とかじゃなくて、友達、なんだ。』

『友達をランクづけしたくねぇじゃん。
友達と親友の境目、わかんねぇもん。
今、烏野合格っていうハードルに
挑戦してる俺を助けてくれる友達。』

頭の中がぐるぐるする。
友達、と言われたことは、
喜んでいいことなのかな?
それとも"その他大勢"ということ?

『じゃ、彼女とかじゃないんだ。』

『違うって。
アイツラにとっても多分、俺は、
"勉強が苦手すぎて放っておけない友達"
なんだろうなぁ。ほら、うちのクラス、
チームワークいいだろ?
文化祭とか体育大会みたいな感じ?』

やっぱり頭の中がグルグルして、
私はつかんでいたカオリの手を離し、
教室を背にして静かに歩いた。
黙って聞いているのが苦しかった。

すぐにカオリが追いかけてくる。

『綾!』

校舎を出て、二人で歩く。

『綾、勘違いしてないよね?
あれって、別に、綾のことを
何とも思ってないわけじゃなくて…』

『…うん、わかってる。わかってる。』

特別、ではないけど、
ちゃんと、"友達"として
存在を認めてくれてる。

カオリがフラれた時、
泣き止むまで黙って待っててあげたのも、
体育大会の時、
私をおぶって走ってくれたのも、

別に、私たちだったから、じゃない。
きっと西谷君は、
相手が誰でも、そうしてたはず。

『んもー、ニシノヤのヤツ!
もーちょっと、こう、言葉、なんとか
ならないもんなんだろーかねっ!
あまりにもそのまんますぎでしょ!』

『大丈夫、わかってるって。
あれが、西谷君の優しさだもん。
誰にでもああやって真っ直ぐ
飾らずに話してくれるから、
西谷君、信用出来るんだもんね。』

『そりゃ、そうだけど…』

心のどこかで、"親友"とか"特別"って
言ってもらえるんじゃないか、って
小さく期待してた自分を封印する。

『あー、なんかスッキリした。
なんとしても、烏野、合格してもらお!』

…精一杯頑張って、笑った。
カオリは"そうだね"とだけ言って
やっぱり、笑った。

西谷君にとっては"友達"でも、
カオリは、私の親友だな、と思った。

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