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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)



お昼をはさんで、
体育大会も後半戦。

そろそろ競技優勝の行方も
気になりだす頃に行われる、
三年女子の学年競技は

"障害物競争"

二人一組で、
グラウンドに仕掛けられている
障害物をクリアしていく。

私は、カオリとペア。
足が長くて速くて
運動神経抜群のカオリと組むのは
得なように思えるけど
むしろ足を引っ張るんじゃないかと
それはそれでプレッシャーでもあり…

いよいよ競技がスタートして
前の列からどんどんグラウンドに
飛び出して行き始める。

『うーん、ワクワクするぅ!』

…と、並んでるうちから既に
身体がムズムズ動いてるカオリ。

『そう?玉入れとか綱引きならいいのにぃ。』

…と、やっぱり苦手意識全開の私。

『ねぇカオリ、
私が遅くて待ちきれなかったら、
一人で先に行っていいからね。』

『ダメダメ、バトンパスは
ペア揃ってやらないと失格だから。
大丈夫、最後の競技、楽しもう!
ほら見て。ニシノヤも、応援してるし。』

赤組のテントの前、
西谷君率いる応援団の大きな声援。
もちろん
私に向けられているわけではなく、
赤組選手みんなへのものなんだけど、

どうせあの熱い瞳に映るなら、
イヤイヤやってる姿じゃなくて
苦手でも自分なりに一生懸命な姿を。
…テスト前、四苦八苦しながらも
私の作った問題に取り組む時の
西谷君みたいに一生懸命に。

西谷君に
ああして大声で応援してもらえるなら、
その声援を裏切ることがないように、
応援団長としての西谷君の役割に
少しでも応えられるように。

『ね?!
応援してくれる人がいるんだもん、
とにかく、全力、出さなくちゃ。』

あぁ、そうなのか。
カオリや西谷君みたいに
スポーツで輝く人は、

体動かすのが好きだから、とか、
才能があるから、だけじゃなくて、

応援してくれる人に応えたい、
…っていう気持ちの支えがあるから
頑張れるんだね。

『…うん、頑張ってみる。
カオリの力、貸してね。』

『当たり前!親友で、ペアじゃん!』

私とカオリのスタートの順番が
段々、近づいてくる。
もう、イヤとかそんな気持ちは
まったく、ない。

『カオリ、も一回、作戦、確認しよ!』

中学最後の体育大会の、
私が出る、最後の競技。

微力だけど、全力で!

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