第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
翌日の昼休み。
いつもみたいにカオリと過ごす。
『昨日は、ありがと。』
『カオリ、ホントに大丈夫?
今日の元気は、本物?ムリしてない?』
『…なんか、自分で言うのも何だけど、
思ったより大丈夫。
目の前であんなの見たら、やっぱ
スーッで冷めてくもんだね。
もっと悲しいかと思ったけど、
ムカつく気持ちの方が強いわ。』
『カオリ、強いなぁ。』
『なんとなく薄々、思ってたからね、
"コイツ、チャラ男かな?"って。
だからショック、少な目だったのかも。
もう、一目惚れはやめる。
私、センスないみたいだから(笑)』
『学んでる(笑)』
『うん、学んだ(笑)…でも、もしかして
昨日、一人だったら、落ち込んでたかも。
綾とニシノヤいてくれて、
ほんとによかったなぁ、って、
昨日、帰ってからつくづく思ったよ。』
『カオリの異変に気付いたの、
あたしじゃなくて、西谷君だから。』
『…ね、綾、』
『ん?』
『もしかして、だけど…
ニシノヤのこと、好き?』
『それ、私がカオリに聞こうと思ってた。
カオリと西谷君こそピッタリじゃない?』
『あたしとニシノヤ?
うーん、ビックリするほど、ない、ね。
多分、ニシノヤも一緒だと思うよ。
なんかもう、空気というか、白ごはん。
好きとか嫌いとか考えたこともない。』
『ホントに?』
『ホントに。…綾は、好きでしょ。
だって、好きじゃなかったら、あんなに
勉強の世話したりしないよね?』
『よく、わかんない。
いつ見ても"カオリとお似合いだな"
…って思っちゃうんだもん。
ズキュン、とか
キラーン、とかみたいな
"恋の効果音"も、鳴ったことないし。』
『そんな、
"一撃必殺!"みたいな効果音ばっかりが
恋の効果音じゃないんじゃない?
ジワジワ、とか、ドキドキ、とかさぁ。』
『ドキドキ…』
『するでしょ?!』
『うー…
西谷君、赤点じゃないかなぁ、とか
遅刻ギリギリだけど
先生に怒られないかなぁ、とか、
プリント提出の期限、今日だけど
忘れてないかなぁ、のドキドキは、
よくあるんだけど…』
『あんたはニシノヤのママかっ(笑)!』
カオリは私の背中をバシバシ叩きながら
ケラケラ、おかしそうに笑った。