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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)




『あ、そういえば、』

思い出して、
鞄のなかからノートを取り出す。

『これ…西谷君用に作ったんだけど…』

『なに?』

西谷君とカオリがノートを覗き込む。

『数学のポイントと例題。』

『ぎゃー、ニシノヤ、あんた綾に
ここまでさせてんの?!』

『ち、ちがうよカオリ、これ、私が
勝手に作ったから、別にやらなくても…』

『やる!てか、これ、貸してください!』

『うん、どうぞ。』

『よーし、もう、数学は
このノートがあれば大丈夫だから。
カラオケ決定!おい、いくぞ!!』

私達の背中をぐいぐい押す西谷君。
そのまま、
駅の近くのカラオケボックスに三時間。

甘いもの頼んで、
歌もいっぱい歌って、
カオリは時々涙ぐんだりして、
そのたびに私がなぐさめて
西谷君は知らんぷりして歌って。

…なんだか、楽しかった。

家に帰ったら、お母さんに
"テスト前なのにどこ行ってたの!"
ってちょっと怒られた。

でも、全然、平気だった。

ごはん食べて、一応、机に向かったけど
全然、勉強なんか手につかなくて。

今日の学校でのカオリのこと。
西谷君と二人で駅まで走ったこと。
まさき君の、肉まんをくわえた顔。
カオリと泣いたこと。
西谷君の、ぶっきらぼうな優しさ。
カラオケボックスでの三時間。

…学校と塾と家の繰り返しの毎日が
ほとんどすべての私の暮らしの中で、
こんなに泣いたり笑ったりした一日は
きっと、ずっと、忘れられないな、
なんて思ったりしたし、

もし、
もしもだけど、

将来、西谷君とカオリが
結婚とかすることになった時は、
きっとその時、"二人の転機"みたいに
今日のことを話したりするんだろな。

…そんなことまで考えた。

そのくらい、二人は仲良く見えた。

自分の気持ちなんか、
考える余地はなくて、

ただ、二人と、ずっと一緒にいたかった。

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