第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
マナーモードにしてた私のスマホに、
カオリからのメッセージ通知。
すぐに開く。
"勉強、はかどってる~?
まさき君、午後、急用なんだって。
暇になっちゃったから、
今から私も一緒に勉強、混ぜて~。
もうすぐ、図書館着くよっ。"
えーーーーっ!!
これ、や、ヤバいでしょ?!
『西谷君、どーしよ、カオリが来る!』
画面を見た西谷君も、青ざめてる。
『これは修羅場になるぞっ!』
『ダメっ!そうならないように、
とりあえず、ここ、出よ!』
『あ?どこ行くんだよ?』
『それは今から考えるから、
とにかく早く片付けて!
西谷君、お願いだから、さっき見たこと、
絶対、カオリに言わないでよっ?!』
『えーっ?俺、隠し事とか、ムリ…』
『ムリでもなんでも、お願い!!』
口ばっかり動いてて手が全然動かない
西谷君の荷物を私が全部まとめて
西谷君のリュックに押し込んで、
『行こう!』
西谷君の背中を押す。
まっすぐ、出口を目指しながら、
とにかく、"まさき君"と彼女の姿を
カオリに見られないことだけを祈った。
図書館前の広場の小路までは
ほとんど、小走り。
『…ハァ、ハァ、ハァ…』
『だいじょぶか?!森島、体力、なさすぎ!』
『西谷君が、体力、ありすぎだって…』
『で?これから、どーするんだ?』
『…どーしよう…』
『あっ!』
西谷君が、小さく鋭い声をあげた。
『カオリ、来たぞ!』
ええっ、もう?
いや、でも、ここでよかった。
中に入る前で、ホントによかった。
『おー、カオリ~っ!』
西谷君が手を振ると、
カオリが手を振り返しながら
のんびり近づいてくる。
『あれーっ?もう勉強、終わり?
せっかく来たのに~。
もうちょっとやっていこうよ~!』
『うん、やるよ。でも、えぇと、
図書館混んでて、席、なくて…
ね、西谷君、混んでたよねっ?!』
『ぉ、ぉぅ。
そりゃもう、押すな押すなの大行列…』
『そうなの?』
『そう、そうなの!
だからさ、どっか違う所、行こ!』
『じゃ、駅前のトドールは?
私、割引チケット持ってるし。』
カオリからそう提案してくれて
ホントに助かった。
だって、
こんなドキドキする展開、初めてで、
何も思い付かなかったんだもん。