第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
(綾ちゃん自身は
そんなつもりないのかもしれないけど)
"友達になろう"という
なんともオアズケな約束をした彼女は
デザートに
ちっちゃなバニラアイスを食べると
『試合もご飯も、楽しかった~。
今日は1日、ありがとう。またね!』
と、自分の分のお代を置いて立ち上がる。
『ウソ、先、帰んの?送るよっ!』
『今から医大に寄るから、大丈夫。』
『えーっ、送らせてよ!』
『彼女でもないのにそんなこと…
ファンの皆さんに見られたら、
私、抹殺されちゃう(笑)』
『俺が守るっ!』
『いいえ、ファンは大事にして下さいっ。
でも…送ってくれなくていいけど、
ご飯は、また誘って欲しい。』
『もちろーん!な、明日、明日はっ?』
『明日…先輩の作業の終わり次第だから
今は約束、出来ないな。
…また連絡しあうってことでいい?』
『わかった、連絡するっ。』
この二人の会話は波みたいだな。
木兎が寄せていくと
彼女がサッとひいていく。
だけど、
それが途切れることはなくて…
バランスがいいのか?悪いのか?
そんなことを思いながら聞いていた俺に
『あ、そうだ、オイカワも
綾ちゃんに、番号、教えといてよ。』
と、話の矛先が向けられて
ハッと我に返る。
『俺?なんで?』
『綾ちゃん、
もし俺が出ないときは
オイカワに連絡してっ。』
当たり前のように言う木兎に
ちょっとカチンときて
『…俺、コタローちゃんの
マネージャーじゃないんだけど?』
と言い返すと、
すぐに、言葉が返ってくる。
あの真っ直ぐな笑顔で。
『マネージャーなわけねーじゃん!
相棒で、親友!俺の一番近くにいるから。
俺ら、二人で1ペアだもんなっ。』
…相棒からの、絶大な信頼。
そう言われてしまったら、
この二人のカタがつくまで
頼られるのもしょうがない。
…なんといっても、
木兎の調子は、
俺の未来に繋がってるんだから。
『わかった。
じゃ、綾ちゃん、これ、俺の番号…』
番号を交換して、
綾ちゃんは店を出ていった。
店の外まで送っていった木兎が
俺の目の前の席に、再び座る。
残った料理を
はしから平らげていく木兎に、
もう一度、訊かずにはいれなかった。
『…コタローちゃん、
もしかして結構、マジなの?』