第1章 ~二番目の、恋~ (及川 徹)
木兎みたいな人気者に
こんだけ勢いよく迫られたら、
ファンならもちろん、
そうじゃなくても
大抵の女の子は、なびく。
それが今までの"フツー"。
だけど彼女は
ハッキリ、言った。
『木兎君の勢い、スゴいねぇ!
私、今、つい、
うんって言いそうになったもん。
でも…
木兎君みたいにモテる人が
私なんかの彼氏になったら、
あれこれ心配でヤキモチ妬く、絶対。
とても平常心じゃいられなくてさ、
気になって気になって仕方ないよ。』
…なんだ?
またもやざわざわと、心の波。
俺、この人…綾ちゃん…の感覚、
いちいちざわめく感情を
言葉に置き換える前に、
木兎のスパイクが繰り出される。
しかも、度肝を抜く、超 インナー(笑)
『そ?俺、確かによくモテるけどさ、
こっちから口説いた彼女のことは
すっげー、大事にするタイプだからっ。』
…自信と、素直さが、ダダモレ(大笑)
思わず、突っ込まずにはいられない。
『コタローちゃん、
それって裏を返せば、
よく彼女が変わるし
大事じゃない彼女もいる、
…ってことになるけどいいのかな?』
『ダーッ、なんでオイカワ、
俺の敵になってんのさっ。
綾ちゃん、違うよ違う、
俺はっ、
よく彼女が変わるんじゃなくて
よくフラれんのっ。
そんで、言い寄られた子の場合は
大事じゃないんじゃなくて
大事の順番がちょっと低め、ってこと。』
…なるほどね。
"大事の順番"
感覚派の木兎にしては、
わかりやすい説明だと思う。
『だからっ。
俺から口説いてんだから、
綾ちゃんは、大丈夫っ!
綾ちゃんに
ヤキモチ妬かせたりしないからっ!』
ビックリした顔と感心した顔を
繰り返しながら、
最後は笑いはじめた綾ちゃん。
『俺、面白いこと、言ってねぇよ?
ガチで口説いてんだからっ。
なーんで笑うのさ?』
『…まだ出会ったばっかりなのに、
もう、楽しくてたまんないんだもん。
こんなに笑ったの、久しぶりだし
こんなに口説かれたの、初めて!』
キラーン✨
木兎の表情が、輝く。
『そ?俺の気持ち、伝わった?』
『つきあう勇気はまだないけど、
友達になったら楽しそう、って
今、すごく思った。』
『くーっ、追わせるなぁ!
じゃ、まずは友達からっ!
これから口説いてみせるっ!』