第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
本当にすがすがしく話す西谷君。
…今日のあのカオリの様子を伝えたら
カオリの友達として
私みたいに一緒に腹立ててくれるかな?
『ね、西谷君、カオリの彼氏に会ったこと、ある?』
『ねぇよ?あるわけねーじゃん、
カオリが俺に紹介するわけねぇし、
俺も別に、会う必要、ねぇし。
森島は?会ったことねぇの?』
『ない。写メは見たことあるし、
しょっちゅう、カオリから
話は聞いてるけど、会ったことなくて。』
『なーんだ。ノロケ、聞かされっぱなしなんだ。』
『それはいいの、カオリ、いっつも
超幸せそうだから。見てて嬉しいもん。
だけど、ね…』
今日、見かけたカオリのことを話した。
二時間以上、待ちぼうけだったこと。
遅れてきた彼が、全然、
申し訳なさそうじゃなかったこと。
それでもカオリは
文句ひとつ、言わなかったこと。
…いつものカオリらしくなかったこと。
『あたしね、なんか、腹がたって。
カオリにもっと優しくしてあげてほしい。
…ってか、カオリもさ、西谷君とかに
いつもピシッと言ってるみたいに、
ちゃんと言えばいいのにって思わない?』
西谷君は、
三つ目のお握りにかぶりつきながら
スキッとした顔で、答えた。
『そうか?俺はスゲーと思うけど?』
え?
『優しくしてくれる、とかって、
自分の都合、っていうか…
スキになる理由にしちゃ、当たり前すぎじゃん。
優しくなくてもスキ、とか
冷たくされてもスキ、くらいの方が
ホントにスキな気がするけどなぁ。
しかもあのカオリだぞ?
アイツが女らしくなるくらいだから
よっぽどスキなんじゃね?
いいじゃん、応援してやろーぜ!』
…ちょっと、意外だった。
西谷君、そんなこと考えるんだ。
『ねぇ、西谷君は、』
『ん?』
『…好きな人、いるの?』
ハッ?!
私、なんてことをっ?!
なんか、余計なお世話、というか、
『俺?俺は、烏野高校に入ってからだな。
あそこの制服着た彼女、作るんだ!』
『西谷君、彼女出来たら、
すごく大事にしてくれそう。』
『そりゃそうさぁ!
優しいだけじゃなくて
強くてカッコよくて頼れる彼氏になる!』
キラッと、歯を光らせて笑う西谷君。
…笑顔が、眩しかった。