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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)




次の日、土曜日。
私は結局、
部活で使う消耗品を買いに、
一人で買い物に出掛けた。

駅ビルの前を通った時、
この辺りで待ち合わせする人がよく使う
銅像の前を通ったら、カオリがいた。

早く着きすぎたのか、
まだカオリは一人で、スマホを触ってた。

よかった。
ホントに"まさき君"と映画デートなんだ。

背が高くて、オシャレでかわいくて、
人混みの中にいても、目立つカオリ。
あんな子が告白してきたら、
そりゃ、"まさき君"も即OKするよね…

声をかけようかと思ったけど、
彼と会う前のウキウキな気分を
邪魔しちゃいけないと思って、やめた。

もうちょっと待ってたら、
"まさき君"を見られるかな、
とも思ったけど、それもやめた。

のぞき見みたいで、なんか、イヤ。
いつかカオリが紹介してくれた時に
ちゃんと"初めまして"って挨拶しよう。

そう思って、
声をかけずに私はその場を通りすぎた。

楽器店に行って、本屋に寄って、
それからブラッと雑貨屋を覗いて、
少し、服とか靴を見るだけ見て、

お昼が近くなって、人が増えてきた。

一人でお店入ってご飯食べるの、
なんかちょっと淋しく見えそうで
ヤだな…帰って、うちで食べよ。

そう思って、来た道を戻る。
来たときと、同じ道。

当然、あの銅像の前も、通る。

何気なく見たその銅像の前に、

信じられないことに、
まだカオリが、いた。

さっきとほとんど変わらないポーズで
スマホを眺めてる。
時々、
キョロキョロと周りを見舞わす表情は、
さっきより、暗い気がする。

…ウソでしょ?
あれからもう、二時間、たつよ?
ずっと待ってるの?
あの様子からして、
きっと連絡もとれてない。
だから同じ場所で待ってるんだ。

…どうしよう。
心臓が、ドキドキしてきた。

声、かけた方がいいのかな?
かけない方がいいのかな?

どうしよう、どうしよう、
どうしよう、どうしよう、

時々、キョロキョロと人を探すように
周囲を見回すカオリに見つからないように、
私も物影に隠れながら、
どうしていいかわからず、
体も頭もフリーズしてしまう。

どうしよう。
やっぱり、偶然みたいな顔して、
声、かけようか。

そう思った時、
周囲を見回していたカオリの表情が、

パァッと、輝いた。

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