第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
夏休みが終わって、
秋になった。
中学校の二学期って、忙しい。
私がいる吹奏楽部のコンクールは
夏休みに終わったけど、
運動部の新人戦は2学期。
それなのに、
実力テスト、
中間テスト、
期末テストとテストも多くて、
西谷君は疲れてるのか、
授業中、居眠りしては
先生にしょっちゅう注意され、
テストも追試の常連。
だけど本人は凹むことなく、
その度に、私とカオリも応援して
なんとかクリアしてる。
体育大会、文化祭と
学校もイベント目白押し。
中学校のイベントは、小学校よりも
自分達で考えて実践することが多く、
こういう時、グンと輝く人っている。
それがまさに、西谷君とカオリ。
この二人を中心に
練習や準備を頑張ったからか、
1年8組は、体育大会も文化祭も
抜群のチームワークで取り組めたし、
西谷君のバレー部も
カオリのバスケ部も
レギュラー入りした二人の活躍もあって
今年は周囲の期待以上の結果を残した。
そんな二人と仲が良い私は、
2学期になって、
あんまり親しくない人からも
声をかけられるようになった。
私のこと、じゃない。
目立つ、二人。
カッコいい、二人。
急に注目され始めて、
二人のことが気になる人が
増え始めたみたいで。
『ねぇ、あの二人って、つきあってる?』
『西谷君って彼女、いるのかな?』
『なぁ、カオリって、彼氏、いる?』
…そんなの、私が知りたいよ。
だけど、そう聞かれるたびに
『秘密なの?』とか『聞いてみて!』とか
言われるのが段々重荷になってきて、
ついに私は、ある日の昼休み、
カオリに聞いてみることにした。
『ねぇ、カオリ、』
『んー?』
『カオリと西谷君って、つきあってるの?』
『ええっ?そんな風に見える?!』
『見える、というか、
見えなくもない、というか…』
『ギャハハっ!そうなのー?!
やだぁ、面倒くさーい!
小学校の頃となんにも変わらないのに!
私がニシノヤを好きみたいな顔、
したこと、あるかな?
綾の目に、そう見えた?』
『んー…』
『ねぇ、綾の目にはさぁ、
ニシノヤってどんな風に見える?』
『んー…』
質問返し、ずるいよ…
答えられない私に向かって
カオリは、ニコッと笑って言った。