• テキストサイズ

~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)




中学生の生活なんて、
ホント、小さな世界で出来てる。

学校か、家か、塾か。

悩みだって、大きくわけたら
勉強か、人間関係かのどっちか。

それが毎日のすべてだから

どうしたって一緒の空間にいるし、
壊れてしまっても逃げ場はないし、

そう思ったから、
私は西谷君のことは、あくまでも
"クラスメイトの一人"だって
自分に言い聞かせてた。

気になるのは、
西谷君がとびきり賑やかだから。

気になるのは、
先生によく注意されてるから。

気になるのは、
私のノートをよく借りるから。

気になるのは、
カオリの友達の1人だから。

だって、別に私、

特別優しくされてるわけじゃないし、
特別親しく話すわけじゃないし、

西谷君にとっては私は、
ただのそこらへんにいる女子の一人、
よくノート貸してくれる人、だもん。

これは、恋じゃ、ないもん。

だから、西谷君とカオリが
どんなに仲良さそうでも
気にならないもん。

別に、
『カオリは西谷君のこと、好きなの?』
なんて、聞く必要、ないもん。

…わたしが塾の帰りに
暗くなった道を1人で歩いてたら
部活終わりの二人が一緒に帰ってて、

声をかけたかったのに
かけられなかったのは
なんだか二人はお似合いだ、と
思ってしまったからだけど、

それならそれでいいじゃん。
カオリと西谷君ならピッタリ。

いいじゃん、あの二人なら
私もずっと一緒に仲良しでいられる。

いいじゃん、
他の子にとられるくらいなら
カオリが西谷君とつきあう方がずっといい。

『…綾、顔、怖っ!』

『…おかーさん…何?』

『何、じゃないわ!
あんた、塾から帰ってからずっと
顔、怖いし、何かブツブツ言ってるし。
何よ、何かあったの?』

『…なんも、ない。
小テストの結果、心配してただけ。』

『あ、そう?ならいいけど。
ご飯、おかわりは?』

『いらない。ご馳走さま。』

…お母さんにも友達にも、
誰にも相談できないこと。

もしかして、生まれて初めて
こんな悩みを抱えた気がする。

モヤモヤした自分が面倒くさい。
カオリにハッキリ聞いちゃえば、
カオリのことだから、
きっとサラッと答えてくれて、

その方が私も楽になれそうなのに。

…聞けない、よね。
そう思っていたら。

/ 733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp