第4章 ~いつか叶う、恋~(西谷 夕)
私の中学校最初の友達、
西谷君とカオリちゃんは
どっちも活発で元気一杯、
いつもクラスの中心的存在。
西谷君はバレーボール部、
カオリちゃんはバスケ部で、
どっちも1年生ながら、
新人戦では固定レギュラーになるほど
スポーツ万能…私と正反対。
一方、私は、
勉強はまぁまぁ出来るけど
運動は何もかもが苦手で、
部活ももちろん文化系、吹奏楽部。
二人とは全く接点なさそうなんだけど、
初日に筆記用具を貸したのをきっかけに
何かと二人に頼られるようになり…
元気がよくて明るい二人と一緒にいると
私まで楽しく感じられて。
『森島~、頼む、数学の宿題、見せてくれ!』
『ニシノヤ、ちょい待ち!
綾の数学ノート、私が先に予約してた!』
『予約?関係ねーだろ!早いもん勝ちだ!』
『あんたは男子に見せてもらいなさいよ!』
『男のノート、字が汚ねぇんだもん!
森島のノートが一番見やすい!』
『ニシノヤのノートだって汚い字なんだから、
綾のキレイなノート、見る意味、ないでしょ!』
『キレイな方が、早く写せるだろ!』
『あんたは間違ってるくらいじゃないと
写したの、すぐ、バレるじゃん!
日頃の成績、考えなさいよ!』
『うるせぇなぁ、ノッポ!』
『うるさいなぁ、チビっ子!』
『(苦笑)あのさ、二人とも、
どっちでもいいけど、
写すなら写すで早くしないと
時間がなくなる、よ?』
『『ギャー!!』』
『西谷君、これ、写して。
カオリには、私が教える。ね?!』
そんなことを繰り返すうちに、
ガサツな男子が苦手だったはずの私も
西谷君となら、
普通に話せるようになっていって、
西谷君に見せるために
分かりやすいノートをとるようになって、
いつしか、
西谷君に名前を呼ばれるのが
待ち遠しくなっていって、
西谷君の活躍が見られるから
体育祭が待ち遠しくなって、
西谷君との話題を増やしたいから
西谷君が好きなテレビやマンガを
見るようになって、
西谷君に会えないから
夏休みなんかいらない、と
思うようになって、
西谷君とカオリがジャれてるのが
少し羨ましくて、
…でも、
カオリのことも大好きだから
そんなことは口にできなくて。
今のままで、充分。