第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
俺と綾の2年間が、終わった。
棚から落ちてきたぼた餅…じゃねぇな、
…俺の手の中に転がり込んできた宝石に
夢を見させてもらったような毎日だった。
助手席に、空っぽの空間。
もう、ここに
綾が乗ることはない。
…車を出発させる。
角を曲がるたびに、
コンビニの灯りを見るたびに、
駅を、
堤防を、
夜景を、
体育館を、
とにかく綾と通ったところ
ひとつひとつを一人で通るたび、
胸が締め付けられた。
…たくさんの思い出と、
誰かと人生を共にすることの大きさと、
自分が生きていく中で何が大事かを、
心の中に山積みにしながら、
結局、何も変わらないまま、
綾を傷つけて終わり…という、
心の痛みが残った恋だった。