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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)




"俺自身が、
綾を心の底から幸せにしたくて
結婚を考えているのか?"

痛いところを衝かれた。

正直言うと、俺は、
今のままの方が楽しいと思う。
恋愛の、気楽でオイシイところだけ
楽しんでいるから。

だけど。
さすがに、それは、言えねぇ。

…ありきたりな、反論。

『そりゃもちろん、
幸せにしたいから、結婚を考えてます。』

『綾を幸せにするために
君は、どんな努力をするつもりかい?』

『どんな…って…
いつも明るく楽しい家庭を…』

『そんなことは、誰だって思ってるよ。』

『…』

『例えば、』

言葉は、淡々と続く。

『君は、今のままの生活を続けて
家族を幸せに出来ると考えている?』

『…どうでしょう。暮らしてみないと…』

『二人の間はまぁ、綾も働けば
なんとなるだろうけど。
例えば子供が出来たら。
君が一人で家族3人、養えるか?
君の方が年上だ。先に働けなくなったら
家族に残せるだけのものは、作れるか?』

『…それは…』

『40過ぎたら異業種への転職は大変だ。
例えば今、私が仕事を紹介するとしよう。
君はその金髪を黒くして働けるか?
バレー部のコーチを辞めて働くか?』

『…それは、綾さんと相談して…』

それは、親父さんの価値観であって。
この人は、まだわかってない。
綾は、普通の社会人ではない俺だからこそ
好きだと言ってくれている。

きっと、
今のままの俺でいいと言ってくれる。

ふう、と、深い息が聞こえる。

『イヤなことばかり言って申し訳ない。
…もし、綾がここにいれば
"それはお父さんの価値観!
私は、今のままの烏養さんがいいの!"
とでも叫ぶんだろうなぁ。』

…わかってる?!

『だから、こうして聞いてるんだよ。
娘が自分で選んだ道で
苦労するのはしょうがない。
その苦労を背負うにふさわしいほど
深く愛されているかどうかを
親として、確認しておきたかった。

恋愛のうちは、楽しければいいだろう。
だけど、生活は、違う。

育った環境も全く違うから、
相手の当たり前の生活に
自分が馴染むための苦労も
想像ができないはずだよ。

烏養君、どうだ。
家族を幸せにする覚悟、君にはあるか?
何かを手放してでも、
綾のことを大事にしてくれるか?』

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