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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)


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『ね、繋心、』

…随分、暗くなってきた堤防。
花火が上がるのを待ちながら
ひとつ前の恋愛を思い出してたら、

隣に座る嫁…綾姉…が
うちわをパタパタ動かしながら
話しかけてきた。

『この1年、どうだった?』

『なんだよ、唐突だなぁ。』

『まぁ、私の前で"後悔してる"とは
例え思ってても言えないだろうけど。』

『そんなこと言ったら、
飯、作ってもらえなくなりそうだ(笑)
…そうだなぁ、何か、拍子抜けするほど
普通の毎日だな。』

『それ、いい意味?悪い意味?』

『いい意味。結婚したら、
なんか、こう、もっと頑張ったり
我慢したりしなきゃなんねーもんかと
思ってたけど、変わんねぇな。
…今まで俺、
何にビビッて結婚しなかったのかって
不思議なくらい、普通。』

普通。
家も、お互いの実家の間。
仕事もバレーも今まで通り。
親にも毎日、会ってるし、
そもそも、嫁さんも幼なじみ。

『そろそろ、"普通"に飽きてきた?』

『いや、むしろ、逆。
俺、変わりたくなかったから
今まで結婚しなかったんだし。
こんなに変わらずにいられるのは
綾姉だからだろな。』

一年前のこの花火大会の日から
変わったことといえば、
籍を入れたことくらい。
綾姉は、
名字が"烏養"に変わったという
変化があるけど、
俺は本当に、何も変わらない。

『綾姉こそ、どうだよ。
そろそろ、
俺の世話にうんざりしてねぇか?』

『うぅん、小さい頃から
繋心のお世話しながら育ってるもん。』

『ほんと、
あの頃から世話してもらいっぱなしだ。
…ずーっと、このままでいてぇなぁ。』

『そういうわけにもいかないでしょ。』

『そうかな?
今までもそうだったんだから
これからもそれでいいんじゃね?
それが、俺達の結婚のいいところだろ?』

『君は本当に、変わらないねぇ(苦笑)』

"お待たせしました!
それではいよいよ花火大会の始まりです。
会場の皆様ご一緒にカウントダウンを…"

スピーカーから、
カウントダウンを促す声が聞こえてくる。

知らないもの同士が声を揃えて
数字を叫び、

どーん…

今年、最初の空の花。

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