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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)




『ケイ君、ごめんなさい。』

つきあい始めて2年がすぎた夏。
その日、綾は会うなり、
いきなりくたっと頭を下げた。

『なんだよ?』

下がった頭は、なかなか上がってこない。

『どーした?』


ごめんなさい、って
どーいうことだ?


他に気になる男が出来たか?
親にお見合いでもさせられたか?
いつまでも現状維持を続ける俺に
ついに愛想を尽かしたか?

イヤな予感しか、しない。

そしてそれは、
別れを告げられることしか思い浮かばない。

…不思議なもので、
ついさっきまで
チラリとも思わなかったのに、
今、こうして
"綾を失うかもしれない"と
思った瞬間から、猛烈に、焦り始める。

手放したくないぞ。
言いたいことあるなら、
とりあえず、言ってくれ。

いつまでもこのまま、
なんてことはないからさ。

何なら今から指輪、買いにいくか?
予算、とかケチくさいこと言わねぇよ。
欲しいの、自分で選んでいいから。

あんなにのらりくらりと
"今のままでいたい"と思っていたのが嘘のように
気持ちが前のめりになる。

『まずは、話し合おうや。
確かに俺も、悪かったと思うよ。
綾の優しさに甘えてた、うん。

そりゃ、若いヤツの方が、
話も合うだろうし楽しいだろーけど、
いや、あれか?
去年みたいに旅行とか行きたかったか?
うん、そうだよな、わりぃ。
でも今年はホント、休みがなかなか…』

フワッ、と上がった頭。
力のない表情でこっちを見る綾。
そして、ポツンと一言。

『…なんで?』

なんで?
…って、何に対して、なんで?なんだ?

休みをあわせられなかったこと?
いつまでも現状維持のままなこと?
あ、もしかして、
最近、あんまり会ってないことか?

ま、どう考えても、
とりあえず、謝るしかねぇ。

『ごめん、そんなに怒んなよ。
言いたいこと、言っていいから。
いやいや、どうしてもって言うなら
そりゃ、しょーがねぇけどさ、
だよな、俺、止められる立場じゃねぇって
わかっちゃいるよ。いるけどさ、』

『…なんでケイ君が謝るの?
なんか、謝らなきゃならないようなこと、
私に隠してたってこと?!
ちょっと待って、どーいうこと?!』

へ?
逆ギレ?
なんでだ?

…あぁっ、もうっ、
わけがわかんねぇだろ!!

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