第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)
『止めたって、ダメ、だから、ね…』
…そういうこと、らしい。
すっかり、自立したなぁ(笑)
擦り付ける動きが止まらない。
細い体が倒れてしまわないように
背中に回した手でしっかり支えながら
"もうイク"と、
言葉ではなく呼吸で訴えてくる茶色の瞳に
ニヤリ、の笑顔を返してやる。
『止めるわけ、ねぇだろ。
見ててやるから、自分でイけよ。』
『見なくて、いい…』
そう言いながら、腰の動きが止まらない。
俺の背中に手を回し、
顔を肩にぴったりとつけてきた。
顔は見るな、ということだろう。
見たいけど。
今は自由に…好きにイけるように…
させてやる。
あとで、たっぷり、
顔、見ながらさせてもらうから。
『…ぁんっ、ぁんっ、ぁんっ、んんっ…』
肩に、熱い息とよがり声がかかる。
自分の気持ちのいいトコロを
ピンポイントで突きながら。
俺にまたがって大きく開いた内腿が
きつく締まってきたのと同時に、
ナカの柔らかい濡れた肉が
ペニスにまとわりついてきて、
『…ぃ、くぅぅぅっ…』
絞り出すような声と同時に、
ギリリ…と肩に痛みが走る。
『…いってぇ…』
ガチッと噛みつかれた。
幸せな、痛みだ。
やがて噛みついていた歯がほどけ、
はぁ、はぁ、という乱れた呼吸が
俺の汗ばんだ胸にかかる。
『いつの間にか、うまくなったなぁ。』
『…はぁ…なに、が?』
『勝手にイくの。』
『…だって、ケイ君、優しいんだもん。』
『あ?』
『…あたしが倒れないように、
ちゃんと、支えてくれてるでしょ。
ケイ君だって、イキたいのに、ね。
いっつも、あたしのこと、
一番に考えてくれてるって、知ってる。
甘くてね、優しい人が彼氏で、うれし。』
満ち足りた顔でこっちを見られると
なんとも居心地が悪い。
甘い、とか
優しい、とかいう
キャラじゃねぇからな。
『ばぁか。俺はそんな、紳士じゃねぇ。』
照れ隠しに、布団の上に手荒く押し倒す。
今度は下から俺を見上げてくる。
その瞳は、信頼に満ちていて。
言葉はないのに
『好きにしていいよ。』という気持ちが
ちゃんと伝わってくる表情。
信じすぎだろ。
…俺は、王子様じゃ、ねぇからな。
どっちかつったら、ヤサグレだ。
誠実さなんか期待されたら、
居心地わりぃ男だからさ。
今度は、俺が、
俺らしく、やらせてもらう。